1曲目の素晴らしさは絶賛したい
しかしながら、それ以外は「隔靴掻痒」状態だ
"SWEET&LOVELY"
BERNDT EGERBLADH(p), SEBASTIEN DOBE(b), STEN OBERG(ds)
2002年スタジオ録音(ATELIERSAWANO AS 030)

@"LEFT IT ALL HANG OUT" マイナー調のブルース・フィーリング溢れる佳曲。こいつはいいよ。繊細にして品のある演奏。泥臭さは全くないと言ってよい。これはヨーロッパ・ジャズの特徴と善意に解釈しよう。このCDの白眉。1曲目にこの曲が入っていたから迷わずに購入したが・・・。

A"NIGHT AND DAY" ベースのパターンがありきたりでつまらない。変な小細工しないでストレートに演奏した方がよっぽど良いと思うのだけど、プロには出来ないんだなあ。聞き古されたスタンダードは、どうしても人と違えたいと・・・・。プロの陥る罠だね。

B"JUMPY JUKE" テーマの跡はベースのソロ。ピアノとの掛け合いで始まる。でも、あまり面白くない。
C"BLUES EYES" ミディアム・テンポのブルース・フィーリングのオリジナル。でも、ブルースではない。なんか平凡では、ある。
D"THEO BOY" この曲もユニークなフレーズを持っているオリジナル。でも、余り感心しないなあ。このピアニスト、B、CやDで泥臭いフィーリングを出そうとしてるのかしら?まず、似合わないね。自分の肌に合わないことを無理してやっている感じ。

E"THE FIRST SNOW" スロー・バラード。はっきり言って「退屈だ」。盛り上がりそうで盛り上がらない。「隔靴掻痒」
F"FREE HANDS" この曲もテーマが詰まらない。ベース・ラインをパターン化して延々と同じフレーズが続く。ピアノがその分、ガンガン弾けばよさそうなものの、実に遠慮がちだ。

G"SWEET AND LOVELY" 
H"ONE FOR THE BARTENDER" 
I"NIGHT PIECE" 

このEGERBLADHというピアニストには世の誉れ高い"A BOY FULL OF THOUGHTS"という作品がある。今回、聴きなおしてみたけど、グループとしての面白さは"A BOY ・・・・"の方がある。ただし、このCDの場合、ベースの音が駄目。こういう増幅に頼った締りのないベースの音は聴く気になれない。

そして、このアルバム。当時とベースが替わっているが、グループとしての一体感や躍動感がないし、実に冗漫な感じ。
1曲目の"LEFT IT ALL HANG OUT"の素晴らしさは絶賛したい。しかしながら、それ以外は「隔靴掻痒」状態だ。1曲目に免じても、星3つ半。  (2003.07.10)


BERNDT EGERBLADH

独断的JAZZ批評 140.