ある意味、何でもできるピアニストだが、器用貧乏ということではない
"NICO MORELLI"
NICO MORELLI(p), MARC BURONFOSSE(b:@、A、E、F、G), STEPHANE KERECKI(b:B、C、D), BRUNO ZIARELLI(ds:@、G), LUC ISENMANN(ds:A、E、F), ALDO ROMANO(ds:B、D), FREDERIC DELESTRE(ds:C) STEFANO DI BATTISTA(ss:H)
2002年11月〜12月スタジオ録音(CRISTAL RECORDS NM 0303)

このNICO MORELLIというピアニストはイタリア人らしい。そう言われてみると、同じイタリアのピアニストのGIOVANNI MIRABASSIの影響も受けているのかなと思わせる部分がある。音使いやハーモニーにそんなことを感じるのだ。
上記のメンバーを見れば分かるように、1曲ごとに少しずつメンバーが替わっている。その微妙な味わいの変化を楽しむことも出来る。Eを除く全編がMORELLIのオリジナル。コンポーザーとしての才能も豊かだ。
                       
@"TARANTE" カリプソ風のリズムに乗って軽快にと思いきや、なかなか聴かせてくれるのだ。特に中間部のピアノ・ソロ〜ドラム・ソロが良い。この曲を聴いて嵌ったと言っても過言ではない。
A"BLUES ZEN" 一転して、スピード感とドライブ感に溢れるモーダルなアップテンポの演奏に変わる。

B"IL CANTO DI SADONE" またまた一転して、今度はBERNDT EGERBLADH風の演奏に変わる。マイナー調の哀愁を感じる演奏。そうこうするうちに、GIOVANNI MIRABASSI風(JAZZ批評 60.)のメロディ・ラインが現れたりする。(僕の思い過ごしと言えるかも知れないけど・・・)
C"PEZZO X" 更に一転して、重量級の演奏が披露される。このドラマーは僕の好みだ。シンバリングの音が実に良い。ドライブ感の強い演奏でこのピアニストの力量を納得させる演奏だ。

D"SOGNO" バラード。ここでは、JAZZ批評 82.のSTEVE KUHNと競演したドラマー・ALDO ROMANOが参加している。
E"LOVE FOR SALE" 唯一のスタンダード・ナンバー。かなりグルーヴィに弾いている。
F"FINDINGS" 

G"・・・CHI LEGGE" 愛らしい曲だが、意表を突く1小節のブランクが効果的。アドリブは倍テン(倍のテンポ)で演奏される。
H"ALBA DI MILLENNIO" ピアノとソプラノ・サックスのデュオ。一聴、学校の始業チャイムかと思わせるテーマで始まる。これに美しいソプラノ・サックスが絡んでデュオの世界が広がる。サックスのロング・トーンが美しい。清々しくも熱っぽい演奏を堪能あれ!このデュオをもっともっと聴いていたいと思った。

各曲ごとに少しずつメンバーを替えて色々な味わいを出しているし、トータルの印象も良い。ある意味、何でもできるピアニストだが、器用貧乏ということではない。特に、@の中間部のピアノソロ、Hのソプラノ・サックスとのデュオは改めて聴きたくなるし、この人の才能を遺憾なく発揮した曲だと思う。そうやって、1曲ずつを眺めていくとどれも印象に残る好演盤なのだ。正直に言って、5つ★にするか、4つ半★にするか迷った。迷ったときは辛い点数を採ることにしよう。   (2003.10.30)



                     
NICO MORELLI

独断的JAZZ批評 161.