美しさの中に秘めた強い主張
もう、聴くしかないのだ。
貴方の感覚で何かを感じれば、それが全て。
"AVANTI!" GIOVANNI MIRABASSI(p) 2000年録音

第3回「JAZZ・大音量の会」の時に登場し、最後の酉を務めた1枚。一言で言えば、限りなく美しいピアノ・ソロ・アルバム。
1曲目が印象的。一度覚えるとフレーズがいつも突いて出てくる。解説によるとチリの反独裁歌らしい。

最初に聞いたときの印象は、一瞬、ジョージ・ウィンストンの環境音楽を思い描いたが、良く聴くとあれほど甘くない。主張すべきときは強く主張している。
鍵盤も重低音部から高音部まで隈なく使っている。甘さに流されない主張のあるアルバムと言える。

CDには分厚い小冊子が付属している。内容はモノクロの戦争や群集の画像だ。
多分、MIRABASSIは主張したいことがあったのだろう。

これは流れ出てくる音楽を聴けば分かる。何を感ずるかは貴方次第だ。多くを語るまい。もう、聴くしかないのだ。こういう音楽は。
そして、貴方の感覚で何かを感ずることができれば、それが全て。そういう音楽である。

そして、アップ後、2日。
聴けば聴くほど味が出てくる。甘さがあるかなと思っていたが、曲によってはとんでもなくハードだ。2、4、6曲目は激しい情念を感じる。僕は好きだ。
結局、5つ★に変更した。同時に「manaの厳選 "PIANO TRIO & α" 」の1枚に加えた。
(2002.02.31)



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GIOVANNI MIRABASSI

独断的JAZZ批評 60.