一粒で二度美味しい!・・・か?
"THE ARRIVAL OF VICTOR FELDMAN"
VICTOR FELDMAN(p,vib), SCOTT LA FARO(b), STAN LEVEY(ds)
1958年スタジオ録音(CONTEMPORARY OJCCD-268-2(S7549))

JAZZ批評 153.で紹介したEDDIE COSTA と同様にピアノもこなすしヴァイブもこなす、その上、作曲から編曲まで手がけるという才人、VICTOR FELDMAN。このトリオは、ジャケットを見れば一目瞭然。いずれも白人だ。FELDMANはイギリスからの移民だそうだ。ジャケットの意味するところはそんなところだろうか?
STAN LEVEYは当時の西海岸を代表するドラマーだし、ご存知SCOTT LA FAROは、この時既にBILL EVANSのグループに属していた。

@"SERPENT'S TOOTH" (vib)圧倒的な迫力で迫るベースのウォーキングとソロ。この迫力にヴァイブでは太刀打ちできない?
A"WALTZ" (p,vib)今度はピアノとヴァイブで勝負だ。でも、ここでのベースも華奢なヴァイブを捻じ伏せるが如し。で、またピアノに戻った。
B"CHASING SHADOWS" (p)ピアノをも圧倒してしまうベースの不幸と言うべきだろうか?ミディアム・ファーストのドライブ感溢れる演奏。

C"FLAMINGO" (vib)美しいスタンダード・ナンバーをヴァイブで演奏するものの弩迫力のベースに負けてしまう。これではデリカシイを感じないね。
D"S'POSIN'" (vib,p)陽気なテーマを楽しげに演奏。

E"BEBOP" (vib)超速の4ビート。よくもこんなに速く弾けるものだ!LA FAROのランニング・ベースは凄いけど、まあ、よくやるわ!凄いと思うだけで何か感動はないなあ。

F"THERE IS NO GREATER LOVE" (p,vib)やはり、こういうテンポのドライブ感の強い演奏が良いんじゃないかな。さながら、大男が大股でノッシノシの歩くが如くのウォーキング・ベースが聴きもの。FELDMANはテーマをピアノで、アドリブをヴァイブに替えて演奏している。

G"TOO BLUE" (vib)弩迫力のベースに圧倒されっぱなし。そんな中で、ヴァイブとベースとの絡みは聴きものだ。
H"MINOR LAMENT" (p)FELDMANのオリジナル。
I"SATIN DOLL" (p,vib)ELLINGTON-STRAYHORNの手になる名曲。

LA FAROの強烈なベースに圧倒され続けるアルバムでもある。良い意味でも悪い意味でも、「ベースのワンマン・トリオ」の如しである。録音バランスがベースにばかりマイクが向いており、ドラムスもピアノも陰が薄い。いくらSCOTT LA FAROといっても、ここまで、際立たせることはなかった。
肝心のFELDMANはピアノとヴァイブを曲によって持ち替えているが、果たして、「一粒で二度美味しい」と言えるかどうか?  (2003.09.27)



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VICTOR FELDMAN

独断的JAZZ批評 156.