この批評を書くにあったって何回も聴いたが、これが結構、苦痛だった。
"EXTREME TRIO"
REGINA LITVINOVA(p), MARTIN SIMON(b), CHRISTIAN SCHEUBER(ds), REINER WITZEL(as,fl on A&H)
2003年5月スタジオ録音(RODENSTEIN RECORDS ROD 06)

サブタイトルには"GERMAN BODY-RUSSIAN SOUL-AFRICAN HEART"とある。ジャケットから分かるのはピアニストは見目麗しい女性だということ。リズム陣はレスラーとも思える屈強な野郎どもだ。この不釣合いが面白いと思った。差し詰め、ピアノ・トリオ版「美女と野獣」といったところか。
このCD、HMVの試聴コナーで聴いた時に、隣にはNIELS LAN DOKYの"MANHATTAN PORTRAIT"の再発盤が置いてあった。1993年録音でGARY PEACOCKが参加しているので気を引かれたが、試聴してこちらを取った。が、果たしてそれは正解だっただろうか?

@"SIXTEEN OR TWENTY FIVE" テーマはあまり面白くないが、アドリブに入るとモーダルな演奏が聴ける。テンポを変えたりしてアレンジに凝っているが、無機的な演奏で味気ない。
A"GERMAN BODY-RUSSIAN SOUL-AFRICAN HEART" タイトル曲。ここでは管楽器がプラスされているが、テーマでの管楽器の演奏は重録音されている。管が一本入って味わいが少し豊かになった。前曲に続いて、これもドラムスのCHRISTIAN SCHEUBERの作品だが、テーマとアレンジに凝っているが、どうも面白くない。
B"OLD MOSCOW" これもSCHEUBERの書いた美しいオリジナル。レスラー級の重たいベースが聴ける。

C"TEMPUS FUGIT" これも手の混んだ事やっているけど、どれも不発。もっと、本質的な部分で勝負して欲しいと思うのは僕だけではないだろう。
D"ON NEWSKI PROSPECT" ベース・ソロはアーシーなフィーリングが出ていて良いけど、グループとしての演奏は、もっと真っ直ぐ演奏して欲しい。
E"MT.FUJI SAN" 外国人がイメージする富士山とはこういうものなのか?!日本音階も取り入れてみましたと。何か「やらせ」臭いなあ。

F"CAVIAR AND VODKA" 陽気でおどけた曲想の曲。8ビートで演奏。
G"OKOSCHKO" 軽くボサノバ。
H"THE SNAPPER" アルトサックスの参加曲。
I"RAIN BEFORE CHRISTMAS" ピアノ・ソロ。神秘的であるが、ジャズらしくない。

CはBUD POWELLの曲で、EとIをREGINA LITVINOVAが曲を書き、それ以外の全てをドラマーのCHRISTIAN SCHEUBERが書いている。一言でいうと、どの曲もあまり面白くない。したがって、アドリブももうひとつ。テーマやアレンジに凝っているが、その効果は表れていない。もっと本質的な部分で勝負できないとすぐに飽きられるだろう。残念ながら、また、聴いてみたいという気にはなれない。この批評を書くにあったって何回も聴いたが、これが結構、苦痛だった。   (2003.10.05)



REGINA LITVINOVA

独断的JAZZ批評 157.