"GOING HOME"
BILL MAYS(p), MARTIN WIND(b), MATT WILSON(ds)
2002年スタジオ録音(PALMETTO RECORDS PM 2090)
タイトル曲"GOING HOME"はドヴォルザークの「新世界」と言った方が覚えが早いだろう。だからといってクラシック・ジャズというのとは違う。正真正銘のJAZZになっている。これはお奨めだ。あの美しい旋律の曲が時間とともにテンションの高い演奏に高揚していく、そのさまがいい。
このBILL MAYSというピアニストは知る人ぞ知るミュージシャンらしい。(あいにく、僕は知らなかったが・・・)このCD、聴くほどに、聴き込むほどにそのよさが満喫できる。食で言うなら「アタリメ」のような1枚だ。噛むほどに味が出てくる。向こう受けを狙ったり、大向こうを唸らせるような派手さはない。地味ではあるが好感の持てるアルバムだ。
サブタイトルに"THIS RECORDING IS DEDICATED TO THE MEMORY OF SHELLY
MANNE,RED MITCHELL & JIMMY ROWLES(they've all"gone home")とある。キーワードは"HOME"だ。
因みに前作"SUMMER SKETCHES"のキーワードは"SUMMER"だったらしい。
@"JUDY"
A"YOU'D BE SO NICE TO COME HOME TO" COLE PORTERの手になる名曲。これを聴きたかった。期待に違わないご機嫌な演奏。ピアノとベースのユニゾン部分が面白い。
B"SHOHOLA SONG"
C"HOME" 軽快な演奏。DAVE McKENNA
(JAZZ批評 43.)にも通ずる西海岸の明るいさっぱりした雰囲気。
D"ON THE ROAD"
E"SHOHO LOVE SONG" とっても美しい曲。趣味の良さが光る。美しいだけでなく躍動感でも決めている。
F"NOSEY NEIGHBORS" 「おせっかいな隣人」だと。なるほど・・・。
G"IN HER ARMS" これも美しい曲
H"COMIN' HOME BABY" ファンキーなフィーリングで奏でる名曲一発。ベースのアルコ弾きを交えて独特の世界を創り出している。
I"GOING HOME" このアルバムのハイライトといって良いだろう。誰もが知っている「新世界」を斬新なアレンジとテンションの高まりで1級の作品に仕立て上げた。
J"I'M A HOMEBODY" 自ら1曲歌っている。ご愛嬌のつもりだろうけど、これはない方が良かった。
「白人」と言えば「白人」らしい演奏だし、"WEST COAST"らしいと言えば"WEST COAST"の垢抜けた演奏が堪能できる。センスのよさが光る1枚。
センスのよさはジャケットにも言える。JAZZ・CDのジャケットとしては秀逸だと思う。
「manaの厳選"PIANO & α"」に追加した。 (2003.04.18)