KEITH JARRETT "INSIDE OUT"
KEITH JARRETT(p), GARY PEACOCK(b), JACK DEJOHNETTE(ds)
2000年6月ライブ録音
これはまさに海の底を探索するかのような、キース・ジャレットと2人のプレイヤーの奥深い世界だ。次に何が起こるか分からないスリリングに満ちた世界。ジャズの醍醐味、即興演奏という世界。

だから、通常の4ビートに乗った歌ものやブルースの演奏を期待していると肩透かしを食う。心して聴くべき音楽である。だから、それなりの態勢をとって聴いた方が良い。

好き嫌いはあるが、中身は濃密。目を閉じて、3者のインタープレイに耳を傾ける。こういう音楽は自分からこの世界に没入して聴くしかない。それが出来なければ、初めから聴かない方が良いだろう。
だから誰にでもお勧めできるというわけにはいかない。

1曲目の "FROM THE BODY" と、2曲目のタイトル曲 "INSIDE OUT" は20分を超える大作だが、後半に入ると「
これぞジャズの重くて深い以心伝心の世界」と興奮せずにはいられない。インタープレイの「凄さ」をみせつけてくれるのだ。
1曲目は9分過ぎから、2曲目は7分過ぎから、3人のプレイヤーがお互いにインスパイアーし合って、インタープレイの極致を体現する。
まさに、「以心伝心」、「阿吽の呼吸」の世界が繰り広げられる。
そう、あたかも重くて深い海の底を覗くような・・・。

3曲目 "341 FREE FADE" の後半部はご愛嬌だ。無理に聴く必要はない。
4曲目 "RIOT" は、ドラムスと、
ピアノの音がする打楽器ベースの音がする打楽器の共演と思って聴くのが良い。3人による打楽器のコラボレーション。これは面白い。
5曲目"WHEN I FALL IN LOVE" はいつものコード進行に従った美しいメロディアスな演奏。最後にしっとりと歌い上げた。

僕にとって、「これぞ2001年のベスト・アルバムである」と確信出来る1枚である。
ただし、誰にでもお勧めできるかというと、そうではない。
それはあなた自身の耳で確かめて。                      (2001.11.14.)




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本年のベスト・アルバムに僕は選びたい

(美しさ、躍動感、緊迫感)+刺激的+スリリング
 =インタープレイの極致
KEITH JARRETT

独断的JAZZ批評 35.