各曲ごとに色々お試し状態のてんこ盛り
次は
@Hをベースとした
統一感のあるアルバムを期待したい
"PARIS NEW YORK"
THIERRY MAILLARD(p), JOHN PATITUCCI(b), DENNIS CHAMBERS(ds) 
1997年スタジオ録音 (RDC 40071-2)


Yahoo!の「ピアノ・トリオ限定トピ」の掲示板で紹介されていた1枚。HMVの紹介文ではフランスの新進気鋭のピアニストとある。試聴が出来ないまま、購入してみた。メンバーからいっても、そう狂いはないだろうと踏んだ次第。
なるほど、新進気鋭のピアニストらしく生きの良い演奏をしている。最近はヨーロッパのジャズ・ピアニストの紹介が枚挙にいとまがない状況で、むしろ、アメリカのジャズが煽られいる感じだ。
サイドメンにはCHICK COREA のグループに長くいたベースのJOHN PATITUCCIや今、絶好調のDENNIS CHAMBERSが参加している。
期待感を誘う組み合わせだ。

全10曲のうちI"STELLA BY STARLIGHT"を除く全てがMAILLARDの作曲。
@"LIVE IN NEW YORK"の演奏はCHICK COREAというよりはZSOLT KALTENECKERの"TRIANGULAR EXPRESSIONS"(JAZZ批評 84.)に雰囲気が良く似ている。これはなかなかグルーヴィな演奏で、しかもドライブ感もあり良い。
A"TEA FOR DRIVE"。PATITUCCIがベースをギターのように弾きたい気持ちは分かるが、その必要性はあったのか?
切れ味鋭いCHAMBERSのドラミングは流石。
B一転して、環境音楽のような癒し系の曲"MONUMENT VALLEY"。
Cピアノのイントロで始まり、その後、3者のアップテンポの演奏になるが、アレンジが凝り過ぎ。途中からミディアムの4ビートになったかと思うと、倍テン(ポ)になったりと忙しい。
D"JAMAIS FINI"。ベースがエレキ・ベースに替わりソロをとる。途中からアコースティックに持ち替えている。CHICK COREAの元でエレクトリック・バンドだ、やれ、アコースティック・バンドだとやったのが役立っている?
そういう中にあって、CHAMBERSのドラミングは派手なパフォーマンスは見せないが、なかなか渋くていい。
E"BORA-BORA"。これもエレキ・ベース。興味なし!
Fスロー・バラード"L'ECHIQUIER"。今度のベースはアルコ弾きだ。
G"MAYA"。エレキ・ベースでロック風アバンギャルド。フーッ。
H"NEW TRIO"。何時聞いてもCHAMBERSのドラミング、特に、シンバリングは素敵だ。これも@同様、また、聴きたくなる。GOOD!
I唯一のスタンダード・ナンバー"STELLA BY STARLIGHT"をピアノ・ソロで締めくくる。

各曲ごとに色々お試し状態のてんこ盛り。だから、アルバムとしての統一感はない。色々試すのは悪いことではないが、自己満足で終わらないようにはしてもらいたい。全体としては1曲目の"LIVE IN NEW YORK"とHの"NEW TRIO"が秀逸だ。今度はこれをベースとした統一感のあるアルバムを期待したい。   (2002.10.01)



THIERRY MAILLARD

独断的JAZZ批評 100.