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『レディ加賀』 | |||||
監督 雑賀俊朗 | |||||
面識もなかった監督から「2024年4月27日(土)~5月6日(月) レディ加賀 GW連休10日間連日・全回舞台挨拶実施!」ということで4/27に入っていた留守電に気づかず、一週間も経って連絡したことから翌日の初回に出向いた。加賀温泉に実在する観光プロモーションチーム「レディ・カガ」に想を得た作品とのことだったが、ダンスチームに仕立てたのは作り手による創意なのだろう。全国各地どころか海外にまであるYOSAKOIソーランは、加賀にもあって本作に登場していたから、鳴子の響きをタップに変えて映画にしたのだろうと思ったら、そういうことでのタップではなかったと後から監督に教えてもらった。 かの『フラッシュダンス』や『フットルース』でもそうだが、ダンスシーンのある映画は、見映えがしていい。タップダンスを撮った邦画としては、ダンスに観応えのあった、七年前に観た『TAP ‐THE LAST SHOW‐』よりもサイドストーリーとのバランスが良かったように思う。エンターテインメント色に徹していた効用なのだろう。さすがにロートルDJ村岡(篠井英介)のくだりは蛇足のように感じたが、そこしか出番がないのだから切るわけにいかなかったのだろう。 吹替なしで踊ったという小芝風花【女将見習の樋口由香】のステージシーンが好くて、華々しく開く花火の場面が沁みてきた。よもや水を湛えたステージでのタップなど思いがけず、野外でしか叶わぬことだろうと感心した。着物姿でのタップという意表を突いた趣向の更に上をいく弾ける飛沫が、なかなか鮮烈だったように思う。四十年前の『フラッシュダンス』でアレックス(ジェニファー・ビールス)がステージで椅子に腰掛けたまま仰け反って水を浴びていた場面のインパクトを想い起こした。小芝風花の名に覚えはあるものの出演映画を観たことがなかったが、観逃している実写版『魔女の宅急便』['14]を観てみたい気がした。由香の母で老舗旅館「ひぐち」の女将を演じた檀れいは流石の貫録で美しくもあったが、やはり『ガール』['11]の光山晴美がいちばん気に入っている。 上映後の舞台挨拶で、今回の能登半島地震で公開時期を迷った末に予定通りにしたと明かしていた監督が、映画を観た石川県民から「観て元気が出た。小芝さんの踊る力強いタップの音が復興への足音のように聞こえてきた」というようなメールをもらったという話をしていたことが印象深い。さぞかし作り手冥利だったことだろう。 推薦テクスト:「やっぱり映画がえいがねぇ!」より https://www.facebook.com/katsuji.yagi/posts/pfbid02uttPUJTRJjMmPjLPfr VTWonB7vM4mpLmaAzxxJW7WdYYFTeu3k6oLTcrL3VuNMoAl | |||||
by ヤマ '24. 5. 5. あたご劇場 | |||||
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