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『アルカトラズからの脱出』(Escape From Alcatraz)['79] | |||||
監督 ドナルド・シーゲル
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先ごろ観たばかりの『マンハッタン無宿』['68]がイーストウッドとシーゲルの初コンビ作なら、こちらはラストコンビ作。連続放映はNHKスタッフの趣向だったのだろう。むかしTV視聴した覚えがあって、なぜか暫くジョン・フランケンハイマー監督作だと誤認していた作品でもある。実に男っぽい映画であることから、そのように誤認していたのかもしれない。緊迫感漲る、なかなかの面白さだと改めて思った。 '60年1月18日のアルカトラズ刑務所への収監から始まり、脱獄に使った手の込んだ細工で仕上げた人形をエンドロールで見せて終えていたが、具体的な日付が示されているようにフランク・リー・モリス(クリント・イーストウッド)は実在の人物らしい。爪切りでのコンクリート壁の掘削や人形製作などの驚異的な根気と技術、コンクリや鉄柵の塩害による経年劣化やらモリスを逆恨みするウルフ(ブルース・M・フィッシャー)のD棟からの帰還などの奇跡的とも言うべき幸運に恵まれなければ叶わなかった脱獄であることが丁寧に描出されていた。囚人たちの人物造形が実に個性的で、本作のどこまでが史実どおりなのか怪しい気がしてならなかったが、もし、J・キャンベル・ブルースによる原作が、本作に登場するチャーリー・バッツ(ラリー・ハンキン)に当たる囚人への取材によって書かれているとすれば、けっこうな確度なのだろうと思ったりもした。そして、『パピヨン』['73]で島に残ったドガ(ダスティン・ホフマン)の姿を想起した。モリスたちの脱獄から一年後に閉鎖されたのは、彼らの脱獄が刑務所の老朽化を突いて果たされたからだったのだろうか。 それにしても、本作は事件から十七年後の製作になるから、パトリック・マクグーハンが好演していた刑務所所長本人やその近親者は存命だったはずだ。それからすれば、今の時代だと本作のような描き方はできなくなっている気がした。 | |||||
by ヤマ '24.11.14. NHKBSプレミアムシアター録画 | |||||
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