『僕たちは希望という名の列車に乗った』(The Silent Revolution)
監督 ラース・クラウメ

 1956年のハンガリー動乱は、ソビエトや東ドイツからは当然ながら反革命とされたが、今では動乱ではなく、ハンガリー革命とも言われたりしているようだ。僕が生まれる二年前のことで、当時の東ドイツの事情など知る由もないが、ソビエト支配に辟易としていた若者が快哉を挙げた心情は分かる気がするし、高校生たちの姿が実に瑞々しく描き出されていて感心した。

 実話に基づくとのことだが、どこまでが実話部分かが測り難いくらい、本作に描かれた高校生たちの自己表現に対し、当時の東独であの程度で済んだのだろうかとの思いが湧いた。逆に言えば、それくらい東独時代に対するネガティヴ・イメージを僕が強固に刷り込まれているとも言えるわけだ。

 それにしても、東ベルリンで受けられなくなった卒業試験を西ベルリンで受けられるなどということが本当にあったとして、それで卒業資格を得た彼らは、その後、どこに向かうことになったのだろう。卒業試験の問題だけでは済まない気がしてならなかった。
by ヤマ

'19. 5.17. ヒューマントラストシネマ有楽町



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