『アクトレス ~女たちの舞台~』(Sils Maria)
監督 オリヴィエ・アサイヤス

ヤマのMixi日記 2016年09月27日23:51

 どうやら劇中に出てくる『マローヤの蛇』というのは、美しい湖畔の村シルスマリアに訪れる霧が這うように忍び寄るさまを意味するものであり、且つ、大女優マリア(ジュリエット・ビノシュ)に忍び寄る老いを暗示していたようだ。CGなのかもしれないが、スイスの美観のなかに白く這うように流れ込んでくる霧と雲の画像が圧巻だった。英題では「シルスマリアの雲」となっているのも宜なるかなだと思った。

 三女優の個性が際立った競演がなかなかの見ものだったが、一糸まとわぬ姿で湖水に入って行ったジュリエット・ビノシュやマリア・エンダーズに対抗心すら見せない若さを誇る新進女優ジョアン・エリスを演じたクロエ・グレース・モレッツよりも、マリアの個人秘書ヴァレンティンを演じていたクリステン・スチュワートの眼鏡っ娘に軍配を上げたいと思った。

 マリアとヴァルの間には、先ごろ観たばかりのキャロル的なインティマシーが漂っていたから、突如として彼女が去った後、あっさりと新しい秘書に替わって済ませている展開がいまひとつ物足りない気になった。

 これでようやく僕もオリヴィエ・アサイヤスの作品を観ることができた。


コメント談義:2016年09月29日 20:19~2016年10月01日 01:28

(TAOさん)
 初アサイヤス、おめでとうございます!
 クリステン・スチュワート、良かったですよね。

突如として彼女が去った後、あっさりと新しい秘書に替わって済ませている展開がいまひとつ物足りない気になった。

 私は、個人秘書と女優の関係が親密すぎるがゆえに、女優の成長を妨げてたんだろうなと思いました。彼女が去って、ようやくマリアはふっきれて独り立ちできたんじゃないかと。

 はて私の感想はどんなだったかなと読み直してみたら、老いを受け入れることができずにジタバタするマリアにやたら共感してました(笑)。


ヤマ(管理人)
◎ようこそ、TAOさん、

 初アサイヤスが今頃になってしまう田舎暮らしが…(笑)。
 ちょっと時間の流れ方が違う感じですね、アサイヤス作品。
 最初ちょっとまどろっこしさを感じましたが、クリスティンのおかげで引っ張って行ってもらえました。

 そんなこともあって、あっさりと新しい秘書に替わっているだけの展開に不満を覚えたのかもしれませんね。一緒に湖水に入った仲なのになぁ(笑)。

 ヴァルは、マリアがサンセット大通りのノーマになってしまわないよう、秘書の域を超えた忠告を重ねるばかりか、プロデュースに近いような関わり方までしていたように思いますが、マリアは文句ばかり言ってましたね(笑)。

 日記、拝読しましたが、『マローネの蛇』への言及に快哉を挙げました。圧巻の映像でしたよねぇ。
見終わってしばらくすると、両者の印象がいい感じになじんできて、あの忍び寄る霧こそが”老い”と老いに対する混迷を現していたのだなあとしみじみ感じ入る
 全く同じでした。

 ドレスからスーツへの変貌についてのコメント、さすが!ですね。ところで、出て行ったヴァルの想いは、どのようなものだったと思われますか?


(TAOさん)
 マローネの蛇の映像、すばらしかったですね~。あれはやはり映画だからこそで、舞台では望めないシーンですね。

 ヴァルが出て行ったのは、これ以上ここにとどまっても、もう自分にできることはない、と、直観的に思ったんじゃないでしょうか。感情的なものももちろんあったとは思いますが、一時的な衝動ではないような気がします。知的で辛抱強い彼女のことですから、お互いのために良くない、そろそろ別の道を歩くときが来たと判断してのことで、その真意は、最終的にマリアにも伝わったんじゃないでしょうか。マリアのことだから、最初は恨み辛みばかりだったかもしれませんが(笑)。


ヤマ(管理人)
 なるほど。それはなかなか素敵な解釈ですね。御指摘の彼女の知的な辛抱強さに依存ありません。僕は、二人に『キャロル』的なものを察したことに少々引き摺られてた面があるようです。
 いやぁ、お訊ねしてよかった。ありがとうございました。




推薦テクスト:「TAOさんmixi」より
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1947815675&owner_id=3700229
編集採録 by ヤマ

'16. 9.27. 美術館ホール



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