| |||||
『ティンカーベルと月の石』(Tinker Bell And The Lost Treasure) | |||||
監督 クレイ・ホール | |||||
ヤマのMixi日記 2010年01月20日12:00 ぽっかりできた休日。朝から何を観るべぇかと番組表を眺めると、まもなく終映とのこの作品が目に留まった。 ピクサー以前のディズニーアニメで僕にとって最も鮮烈だったのは、『ファンタジア』('40)を別格とすると、拙著にても言及した『美女と野獣』('91)で、その空間造形の立体感と英語という言葉の持つ響きの美しさに強く心奪われた覚えがある。その後のアニメーション技術の驚くべき進歩によって、空間造形に留まらず事物そのものの立体感が目を引くようにはなったが、それが画面そのものに息づき、物語性と空間造形を統合してなお『美女と野獣』を超えるファンタジーを感じさせてくれる作品を僕は観ることなく来ていたが、思いがけなくもこの作品で得られたような気がする。ちょうど今やっている3Dアニメの『カールじいさんの空飛ぶ家』よりも僕は、この作品のほうが好きだなぁ。 宝物より何よりも、一番大事なものは心のなかにあって、それは友情だというような台詞が最後にあったが、この作品を観ると、“友情”よりもそれは“気付き”なのだということが自ずと伝わってくるところが気に入ったし、二匹のトロールが教える“言葉にすることの大切さ”と同時に、言葉を発しない梟とブレイズ[炎]という名の蛍の果たす役割の大きさを併せ描いているところも気に入った。 それにしても、ティンク、最初に登場したときの腿といい、ベッドでの寝起き姿といい、やけにイロっぽかったぞ。ちょっとした表情にも何か艶があって驚いた。ちょっと手に負えないところのある、まぁ言わば、困った奴なんだけど、テレンスが悩殺され、惚れちゃってることに、大いに納得感があって感心。 残念だったのは、吹替え版でしか観られなかったことだ。『美女と野獣』がそうだったように、この感じだと、さぞかし美しい英語の響きを聴くことができたろうにと勿体なく思った。リアルドラマのアメリカ映画では聴けない英語だったろうになぁ。 *コメント 2010年01月20日 12:23 (ケイケイさん) >それにしても、ティンク、最初に登場したときの腿といい、 私も思いましたよ。多分引率はお父さんの場合もあるから、サービスカットかも?(笑)。 良かったですよね。私もとめさんとミノさんのお陰で、思わぬ拾いものをしました。 >ちょっと手に負えないところのある、まぁ言わば、困った奴なんだけど、テレンスが惚れちゃってることにも、大いに納得感があって感心。 うんうん、疳癪持ちで意地っ張りですが、根は可愛げのある良い子ですよね。こういう子にふったから、観ている大人は「これは私かも・・・」と反省し易いわけで(笑)。 2010年01月20日 22:21 (ミノさん) テインク=モンロー風?ですよね。 私もこのシリーズ最初から見てますが、妖精の癖にやたら地に足のついたテーマだな、と感じてます。気づきにしても、外からもたらされる(女王の力とか霊的なもの)でなく、自分がすったもんだする痛みの中で気づいていってますから、人間的ですよね(笑)。 私もコミノ連れだったんで吹き替えなんですよ。残念〜 2010年01月20日 22:45 ヤマ(管理人) ◎ケイケイさん、 あら、オヤヂでもないくせに気づきましたか(笑)。 やっぱ“気づき”が主題の作品だけあるなー。 おや、とめさんもでしたか! 女性にウケてるんですね、オヤヂ映画が(笑)。 >疳癪持ちで意地っ張りですが、根は可愛げのある良い子ですよね。 基本的に真面目な頑張り屋さんですもんね。 >こういう子にふったから、観ている大人は「これは私かも・・・」と反省し易いわけで(笑)。 なるほど。されば、やっぱオヤヂ向けではなく、成人女性が主たるターゲットなわけですな。正しいマーケッティングです(笑)。 こういう子ってとこも勿論ですが、それ以上に、彼女がテレンスにイラつくのも無理ないというとこもきちんと描かれていて、いくら良かれと思ってしてやってるにしても、少しは気づいてやったら?って、僕などでさえ思える“テレンスの優しいけれども鈍感な様子”が徒にティンクの短所を際立たせたりしない按配に働いていたことが、大きな要素になっていたんじゃないかと僕は思うのですが(笑)。 それにしても、この作品に限らず、映画で先に謝るのは、いつも男だね(あは)。 ◎ミノさん、 僕は一作目は観逃しているんですが、一作目からモンローでしたのん? それなら、観逃したのが何とも残念だなー(たは)。 「妖精の癖に地に足のついた」って、旨いことおっしゃいますね(感心)。気づきや発見って自分ですることだからこそ、身になるんですよね。 ミノさんなれば、僕以上に英語の響きを堪能できたでしょうに、それは残念でしたね。 2010年01月21日 15:37 (ケイケイさん) いやいや、とめさんはご覧になっていません。とめさんから、なんばパークスの招待状をいただいたんです。それでミノさんご推薦の、この作品を観た次第。 冬休みも終わってたから、場内に入ったら若いアベックだけだったんですよ。悪いことしたなぁと思ってたら、一人お若い女性が入って来て、罪悪感から解放されました(笑)。 >僕などでさえ思える“テレンスの優しいけれども鈍感な様子”が徒にティンクの短所を際立たせたりしない按配に働いていたことが、大きな要素になっていたんじゃないかと僕は思うのですが(笑)。 そうそう、『今度は愛妻家』のトヨエツも、別に次元で鈍感だったんでね、泣きをみるんですよ。トヨエツなんてその上無神経だったから、目も当てられない(笑)。女性と上手くやって行くには、鈍感と無神経はご法度ですから(^−^)。 2010年01月21日 22:08 (ミノさん) ◎ケイケイさん 「鈍感力は生きていく上で大事」といいますが、女性に関しては感度鋭くないと痛い目にあうんでございますね。いや、対男性であっても、鈍感さは命とりな場面がありますよ。つるかめつるかめ(笑)。 「あえて鈍感」はいいんですけどね。 ◎ヤマさん 妖精なのに地道なこのシリーズ、1作目なんて「働くとは」がテーマで、「もっと輝ける私」幻想の元、自分さがしをするテインクが描かれます。自分が何をしたいか、ではなく、世界の中で自分がどう活かされ、機能出来るか‥というような展開に落ち着くんです。 「働くとは」「遊ぶとは」というのは深淵なるテーマとのことですが、この作品世界では、妖精は皆役割があり、労働している。深読みしようとすれば非常に出来てしまう世界ですよね 2010年01月22日 00:35 ヤマ(管理人) ◎ケイケイさん、 なるほど、そーゆー事情でしたか。 鈍感に無神経が加わると、鬼に金棒ですな(笑)。泣きを見ても已む無い気がしますねー。やはり鈍感までに留めておきたいものです。 それにしても、そう伺うと『今度は愛妻家』が楽しみになってきました。トヨエツの演じたキャラがティンクのように、「これは私かも・・・」と反省し易いといいのですが、そうは問屋がおろさなさそうですね(厳)。 ◎ミノさん、 “あえて鈍感”をきちんと見抜いて了解していただけるとありがたいです。とりあえず全部“あえて鈍感”と見て、おめこぼしを(笑)。 それはさておき、一作目。なんか本作以上に興味深そうじゃありませんか! 観逃したのが悔しい気分です。食指は動いていたのになぁ(とほ)。「働くとは」「遊ぶとは」というのは、我が哲学の生涯テーマだもの。 本作での深読みネタとしては、他にも「ルール」の問題がありましたね、そう言えば。 2010年01月22日 23:02 (ミノさん) 「あえての鈍感」ですか(笑)。 了解しました。今年の目標が「許容量を増やす」だしな〜 ところで「ルール」っていうのは‥? 2010年01月23日 08:59 ヤマ(管理人) ルールの問題というのは、テレンスが守り、そして破ったルールのことです。 ルールについては、守ることばかりが教育されますが、実は、学ぶべき最も大事な点は、破るか否かの分岐点における判断の元となる尺度の獲得であり、破ることを選ぶ際の引き受けの覚悟のほうだと思うんですが、守ることばかり教えようとすると破り方は教えられません。 そこで、誰しも実体験や物語のなかで学んでいくことになるわけですから、ビルドゥングスロマンとして映ってくるような作品には、必ずといっていいほど、この主題がどこかに潜んでいるとしたもので、この作品でも、そういう要素をきちんと備えていたよなぁと思ったんですよ。 2010年01月23日 21:39 (ミノさん) びるどぅんぐす・ロマンてなんでしょうか‥ 2010年01月23日 22:04 ヤマ(管理人) もともとドイツ語だったと思うけど、和訳としては「教養小説」ってことになってる。要は、自己形成を含んだ成長物語ってことですね。だから“ビルド”なわけで(多分)。 2010年01月23日 23:32 (ミノさん) なるほどなぁ。 自己形成を含む成長物語ていや、確かにそうですね。 ルールの破り方は教えられるものではなく獲得するもんですね。教えるのも不可能だし。 基準は難しいなあ〜。嘘の使い方と同じニュアンスで、体験的に「あ、こうするんだ」みたいな学習ですかね。 ルール守ってたら、自己保存出来ないような状況を経験するとか。破るのも常態化しがちですから、例外であることが自覚される必要があるし。 2010年01月24日 09:59 ヤマ(管理人) そうなんです。本当に難しいのは、破り方のほうですよね。 マニュアル的に基準設定ができるのであれば、それ自体がルールの中に組み込まれているはずですから、そうはできないものなんですよ。TPOによって異なるとともに、その破り方において、その人そのものが問われますよね。 今また何度目かのブームが訪れている龍馬が人気があるのも、そこのところに触れてくる生き方を彼がしているように映るからだと思います。 推薦テクスト:「映画通信」より ttp://www.enpitu.ne.jp/usr1/bin/day?id=10442&pg=20100113 推薦テクスト:「ミノさんmixi」より http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1378217228&owner_id=2984511 | |||||
編集採録 by ヤマ '10. 1.20. TOHOシネマズ4 | |||||
ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―
|