『ヒトラー 最期の十二日間』をめぐる往復書簡編集採録
チネチッタ高知」:お茶屋さん
ヤマ(管理人)


  2005年11月5日 16:58:09
(お茶屋さん)
 ヤマちゃん、こんにちは。一週間ぶりですね(^_^;。
 『ヒトラー 最期の十二日間』、みんな狂うちょったねー。腐るっていうか。退廃も感じだけど。

ヤマ(管理人)
 ものすご~く身勝手な奴やったね、ヒトラー。
 責任感覚ゼロ! ほんっとに自分の欲望のことしか考えてない。あの期に及んで駄々をこねるように「降伏の屈辱だけは繰り返したくない」に終始して、投げ出しで自死へと逃避していった姿には本当に呆れた。

(お茶屋さん)
 う~ん、なんか常人の感覚とはかなり違っていて、狂人っぽかったです。周りの普通の人(例えば、あの若き秘書)がそんなヒトラーを敬愛しているのが、不思議と言うか、怖いというか、もしかして自分もヒトラーの周りの人たちみたいになる可能性があるの????うっそん。

ヤマ(管理人)
 あると思うよ~。いわゆるエライ人たちとお近づきになる人々って(笑)。
 だから、そういうのがイヤな人は、エライ人に近づくことを避けるよね。

(お茶屋さん)
 ゲッペルス夫妻は、もとはあの秘書くらいの普通の人間だったのでしょうか。あんなにヒトラー化しちゃって、怖かったですね。

ヤマ(管理人)
 僕が印象深かったのは、何と言っても、ゲッベルス夫人だったなぁ。彼女が一番の心酔者だったよね。そのなかでのゲッベルスの姿というのがまた何とも情けなくて(苦笑)。きっと元々妻をヒトラー心酔者に促していったのは、ゲッベルス自身だったろうね。そこには、野心もきっとあったはずで。
 僕は、かねてより、ヒトラーのカリスマ性というのは、彼自身の才覚というよりも、ゲッペルス宣伝相の造形による功績のほうが大きいと思っていたから、彼の仕事の出来高の過剰さが、彼自身を含め、ドイツに惨状をもたらしていたことの様子が、ヒトラーとゲッベルス夫妻の三角関係のなかに端的に映し出されているように見えてとても興味深かったよ。
 それにしても、絶大な権力ってコワイよね~。権力者自身のみならず周囲も狂わせちゃうからねー。でも、ヒトラーの自殺があれなら、東条英機の自殺未遂のほうが数段納得できるよ、プライド-運命の瞬間-に描かれたような美化抜きでもね。
 そもそも、ああいうアンリライアブルなパーソナリティがきちんとカリスマ性を獲得できちゃう現実というのが、なんちゅうか、とほほな人間世界だよね~。

(お茶屋さん)
 おお、「とほほ」というくらいなら、ヤマちゃんは、あの周囲の人たちみたいにはならないですね。

ヤマ(管理人)
 権力に近づかないようにしてるからね(笑)。

(お茶屋さん)
 私は、やっぱり、気をつけようと思いました。そのためには、生存本能を常に意識しようと。

ヤマ(管理人)
 近づいても尚、優先順位を間違えないようにするってことなんだね。確かに、そのほうがより原理的な対処の仕方だよね。

(お茶屋さん)
 ヒトラーが死んでも、なかなか目が覚めんところが怖かったねー。

ヤマ(管理人)
 物理だけじゃないのよね、慣性の法則って…。

(お茶屋さん)
 ははは!(大受)
 もうほとんど生存本能を破壊されちゅうもん。

ヤマ(管理人)
 そうやねぇ、日本に嘗ていた“会社人間”が、社の不祥事を一身に背負って自殺するなんてことも昔はあったけど、あれも生存本能壊されちょったよね。近頃、とんと聞かんなったけどね。

(お茶屋さん)
 まともな人は、生存本能に忠実や。
 あんなに集団で病気になった場合、どうしたら治せるのでありましょう?

ヤマ(管理人)
 病気と一緒で、治療より予防!(笑)
 どうやって治すかっていうのは、もうメチャメチャむずかしいから、病気にならないように何とかしたいものなんだけど、それも大きな流れのなかでは難儀なことだよね。

(お茶屋さん)
 そうですねぇ。
 インターネットというコミュニケーション・ツールでなんとかならんものかと思うのですが。

ヤマ(管理人)
 僕にしても、身を以て予防活動に従事するまではできないものだから、映画日誌のなかで従前とはスタイルを変えて、時事的に敢えて明言することを心掛けるようにはなったんだけど、何だかそれも自己証明的なことにすぎない気もしてね。
 でも、一応ネットで公開しているから、多少は触発を与えているようなところもあるらしく、ときどきそういったコメントをもらったりもするのが嬉しいね。

(お茶屋さん)
 おお、それはネットを生かしておられますな(^_^)。

ヤマ(管理人)
 生かしているというほどでもないと思うよ。触発といっても、根のあるとこにしか響かないことだろうから。もともと同根だっていう気がするもの(笑)。

(お茶屋さん)
 う~ん、それはあるかも。

ヤマ(管理人)
 それはともかく、なんかパーソナリティ的には、この映画のヒトラーがものすごく僕の小泉イメージと被ってて、ドイツ映画なのになぁと、なんか複雑な心境だったよ(とほほ)。

(お茶屋さん)
 純ちゃんの大衆扇動政治は、大成功ですね。大衆っていつの世も扇動されやすいってことですか。

ヤマ(管理人)
 残念なことに、ね。
 権力のそばにいるわけでもないのに、そうなっちゃう人が多いのは、ほんとーにトホホの極みだよねぇ。

(お茶屋さん)
 ヒトラーと小泉は被ってると思っている人は、ヤマちゃんだけじゃないみたいよ、こんなサイトもありますし…。

ヤマ(管理人)
 でしょうなぁ(笑)。
 そうそう。この作品も、たぬさんの書いている感想がとても面白くて、僕は大いに賛同してたんだけど、お茶屋さんは読んだかい?

(お茶屋さん)
 今、読みました。
 初めのほうを読んだだけで、たぬさんが、ヒトラーと小泉を被らせているというのと、殺される側に立っているのがわかりました。だから、米百俵の話で町人側に立つのは当然という感じですね。

ヤマ(管理人)
 そうそう。

(お茶屋さん)
 今の世の中は、町人が藩士の意識を持っているというのは同感です。たぬさん、うまいことおっしゃりますな~!

ヤマ(管理人)
 ね、このへん、なかなか見事だったよね。

(お茶屋さん)
 どうして痛い目にあわされている者が、痛い目にあわせている者に同調するのかね~。

ヤマ(管理人)
 これが僕にもどうにも解せない。

(お茶屋さん)
 生存本能、どうにかなってますね~。

ヤマ(管理人)
 苦境にある若者族の支持が一番高いらしいから、ますますもって不可解千万だよ。まさしく生存本能がおかしくなってるんだろうな(苦笑)。

(お茶屋さん)
 痛みを伴う改革なら、しないで現状維持のほうがましだったし、改革のためには痛み を伴うって、「欲しがりません勝つまでは」と同じじゃんと思うのですが。

ヤマ(管理人)
 たぬさんに負けず劣らず、うまいこと言うじゃない!(笑)

(お茶屋さん)
 ヒトラー、小泉つながりで、思わぬ方向へ話が行ってしまいました(笑)。

ヤマ(管理人)
 笑ってばかりもいられないんだけどね~、お互い(とほほ)。



推薦テクスト:「Puff's Cinema Cafe」より
http://www.ff.e-mansion.com/~puff/2005b.htm#Der Untergang
by ヤマ(編集採録)

'05.10.23. 東宝2



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