『ポロック 2人だけのアトリエ』をめぐる往復書簡編集採録 | |
ローズさん ヤマ(管理人) |
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2005年1月12日 18:11から
(ローズさん) エド・ハリスファンで絵画好きな私にとって『ポロック 2人だけのアトリエ』はすごく興味が湧いた作品でした。 ヤマ(管理人) 僕もけっこう絵画好きなので、きちんとじっくり観たいと思い、贈っていただいたDVD鑑賞が遅くなってしまったんですよね〜(詫)。 (ローズさん) 映画好きは絵画好きな方が多いですね。 ヤマ(管理人) 僕のサイト周辺では特にシューテツさんやお茶屋さん、大倉さんがそうですね。 (ローズさん) 本編はパソコンでは物足りないけど、エド・ハリスの静かな音声解説はゆっくり堪能なさったのでは? ヤマ(管理人) 日誌を綴った後、インタビューのほうしかまだ観てないんですよ。音声解説のほうは、『ミスティック・リバー』同様に、きっと本編と同じく2時間あるのだろうから、またまとまった時間で娘のパソコンを拝借できるときに、と思って(苦笑)。 (ローズさん) 童貞を失うシーンなどを細やかに解説しているので「役者ってこんな風に感じて演じているんだ〜」と興味深かったです。 ヤマ(管理人) こう聞くと、俄にそそられてくるなぁ(笑)。 (ローズさん) ヤマさんにぜひこの音声解説を観ていただきたくて。エド・ハリスの映画への一途な想いが伝わってきます。 ヤマ(管理人) じゃあ、早く観なきゃね。 (ローズさん) この映画を観るまではポロックの絵はワケが分かりませんでした(笑)。 ヤマ(管理人) 僕も特別に好みというわけではなかったけど、エド・ハリスの堂に入った制作演技で大いに魅せられたんですよ。 (ローズさん) 「大変な制作になることを見越して支えてもらうため妻を起用した」と言ってますがすばらしいご夫婦ですね。役柄も嵌ってて巧かったし。 ヤマ(管理人) そーか、だからポロックをパトロネージュしたグッゲンハイムの役だったのね(笑)。 (ローズさん) ポロックのアパートを初めて訪ねたときの彼女のパフォーマンスが可笑しかった。 ヤマ(管理人) せっかく来てくれたのに、酔って不在にしてて、リーに引っ張って連れ帰られてたときのことですね。 (ローズさん) エド・ハリスが繊細で破滅的で無邪気な天才画家を体現したこの映画を観て、ようやくポロックの絵が少し分かりました。機会があったら本物を見てみたいです。 ヤマ(管理人) ホントにそういう点で見事な映画でしたね。いただいたDVDのインタビューでは、元々彼の父親が似てるからっていうことで送ってきた本を読んで、映画化を考えるようになったんだってね。 (ローズさん) そのお父さんも出演なさってて。 ヤマ(管理人) あ、そうだったの? 映画の最初に確か両親に捧げるとかいうクレジットが出て、ポロックの伝記物なのに、なんで? と思ったりしたのが、インタビューで納得したんだったけど、出演までしてたのか〜。 (ローズさん) 犬を連れていったときの優しげな獣医です。 ヤマ(管理人) ふーむ、これは音声解説版を観るときに気に留めておこう。今は思い出せない(たは)。 -------DVD鑑賞による日誌アップを終えて------- (ローズさん) -----ヤマさんの日誌より引用----- 「僕の目を惹いたのは、ドリッピング技法の誕生を偶然の産物として描いていたシーンで、ちょうど画面に映し出された絵の具の足元への滴り具合が、成る程これなら彼にインスピレーションを与えても不思議ではないと思える絶妙さだったことだ。」 そうそう、私もこのドリッピング技法が奇跡的に生まれるシーンにリアルな煌きを感じました。 ヤマ(管理人) うん、ここにはホント、感心しましたね。僕には絵心があるわけじゃないけど、そんな素人にも有無を言わせない絶妙さでしたよ(笑)。 (ローズさん) エド・ハリスがこの映画でいちばん描きたかったのはポロックが悶々と格闘し続けた芸術だったのでしょうね。 ヤマ(管理人) 同感、同感。DVDで後から知ったけど、そのために彼自身が長年かけて絵の練習したんでしょ? それも凄い話だけど、そこんとこが十分活かされてましたよね。あの身のこなしは相当のもんだと思ったもの。 (ローズさん) 10年間練習したそうだけど、思い入れが半端じゃないですね。 ヤマ(管理人) だよねー。映画観て堂に入った身のこなしに感心してたんだけど、まさかここまでとは思わなかったよ(笑)。そーか、そんなに練習したのか、と改めて感じ入るとともに、だからだなーと納得したものでした。なかなかそこまでできないよね〜。 (ローズさん) パトロンの新居の壁画絵が完成していくシーンも印象深く丁寧に描かれて。 ヤマ(管理人) そうそう〜。 (ローズさん) 映画そのものが芸術作品のように表現されていました。 ヤマ(管理人) ドラマ自体以上に、視覚的説得力に富んでましたね。 (ローズさん) -----ヤマさんの日誌より引用----- 「画家としての才能と可能性以外には殆ど魅力というものの感じられなかったポロックに対してリーをあのように向かわせたものは何だったのだろう。」 リーは、ポロックと出会うまでは珈琲すら自分で淹れずにカフェで飲む女流画家。 ヤマ(管理人) なるほど、確かにそうだった! (ローズさん) 生活感など微塵もなかったリーがポロックと共に暮らすと決める潔さがすごい。自立して洒落た生活をしていた人があんな安アパートで主婦に専念できるものだとびっくり。 ヤマ(管理人) どうして、そうできたのかっていうのが、僕の一番の関心事になったんだものな〜(笑)。 (ローズさん) リーが画家だからポロックの才能を見い出せて、精神が病んでいる彼を支え、数々の名作を生み出す後押しができたのでしょうね。 ヤマ(管理人) それは勿論そういうことなんですけど、それにしたって凄い豹変ぶりだよねー。 (ローズさん) 芸術家ってびびっときたら変身できるんですね。私なんてフツーの女だから、惚れるより惚れられてラクしたいですもん(笑)。 ヤマ(管理人) それは僕も同じ(あは)。 でも、あんまり惚れられるとそれはそれで苦労の種かもしれませんよ(笑)。 (ローズさん) 僕も同じってほんと? ヤマさんが奥さんに惚れてるんじゃないのかな(笑)。リーは自分自身の才能を見極めていて自分以上の凄い才能に出会ってポロックの才能を開かせることに徹したのでしょう。運命の出会いですよね。 ヤマ(管理人) そう。まさしくそう言う外ないんですが、自分の才能を見極めていたにしても、あんなふうに豹変できるのは、やっぱり特別なことだと思いますし、何が彼女をそうさせたのかってとこで、僕には実感的に掴めなくて、あんな日誌になったんですよね(たは)。 (ローズさん) ジョンとヨーコの出会いがなかったらジョンの歌が生まれなかったかも・・・。それ以上にリーの存在なくしてポロックの芸術は開花しなかったでしょうね。 ヤマ(管理人) 勿論それはそうですね。そのことはよく解るんですが、それを果たし得た献身の動機というのは、やっぱり測り知れない感じがしますねぇ…。 (ローズさん) やっぱ、惚れたんじゃない。絵画の才能だけでなくポロック自身にも。 ヤマ(管理人) とどのつまり、そういうことだよね。だからこそ、僕に“惚れる”ということの本質を知らずに来ているのかも、なんていう感慨を抱かせたんでしょうし(苦笑)。 (ローズさん) 同感です。 (ローズさん) -----ヤマさんの日誌より引用----- 「“惚れる”ということの本質を知らずにきているのかもしれない。」 私も心から共感します。このまま人生が終わるのかと思うと、ちと、淋しいかも。 ヤマ(管理人) そうですか、共感してくださいますか(笑)。 (ローズさん) 心から。 ヤマ(管理人) まぁ、誰彼になくあんな特別な出会いというものがあろうはずもないですよね。 (ローズさん) 誰でも特別な出会いを心の底から待っているけど、そうそうないですよねー。 ヤマ(管理人) でも、ポロックほどの特別さを備えた相手でなくても、わりと惚れ込むということができちゃう人が、この世の中にはいたりもするわけでしょ? そのへんがなぁ〜、ローズさんの「このまま人生が終わるのか」ではないけれど、確かに「ちと、淋しいかも」と思うと同時に、そうなっちゃうのもコワイとこあるよね。 (ローズさん) ヤマさんはだいじょうぶかも。私は兄と弟の中で育って男をあまり意識しないから惚れっぽくないのかしら? ヤマ(管理人) いやいや、僕はむしろ惚れっぽいんですよ、実は(笑)。 (ローズさん) 異性と友だちでいるうちはいいけどある距離以上に相手が入り込んでくると引いてしまうことあります。 ヤマ(管理人) そういうのって特に女性には多いような気がするけど、どうして引いてしまうんだろうね。 (ローズさん) 友情といっても同性と異性とではそれぞれ心地良くて、おなじ感情ではないですよね。 ヤマ(管理人) そりゃそーだ(笑)。にしても、嫌な相手ならともかく、そうではない相手でも、異性だと女性を引かせるというのは、何なんだろうな? (ローズさん) こちらは友だちとして好きなのにあちらは恋愛を求めているとき。異性の付き合いの場合は「友情と恋愛のずれ」があるでしょ。「恋してるけど友だちでいましょう」ではないですよ。 ヤマ(管理人) だよね。ってことでは、「恋」っていうものに凄くピュアっていうか、特別なものとして囚われていて、そこんとこでの意識が違うってことだよね。男の子は、恋だの、愛だの、友情だの、のラベリングは割とどうでもよくて、恋だからこういう気持ち、愛だからこういう気持ちみたいなことは考えないね。逆に、こういうとこ共有して恋になり、こういうとこ交わして愛が育つとかは考えるけど、女の子はその後先が反対だったような気がしてたね。 (ローズさん) なーるほど、男子の気持ちってそうなのかー。なっとく。 ヤマ(管理人) これって、相手によって左右される度合いよりも、当人の気質というか体質的なもののような気がするんだよね。僕も相手によっては違うのかっていうと、必ずしもそうとは言えない気がするし、な〜(苦笑)。 (ローズさん) やっと惚れる相手に出会ったとしても「当人の気質というか体質的なもの」が邪魔をしたり、縁がなくて恋愛まで行かないというケースもありますよね。 ヤマ(管理人) 若い頃は特に、ね。やっぱり誰しも臆病で自信ないし(笑)。でも、自信持てるまで待ってたら、いつまで経ってもそのときが来ないことをそのうち知るようになり、臆病さを押しのける勇気を奮い立たせるようにはなるんだけどね(笑)。 それはともかく、僕自身に関わるところで言えば、惚れっぽいくせに心底は惚れられないってとこ突かれたようで、ちょっと考えさせられたんだよね。 (ローズさん) 「惚れっぽいくせに深入りはしたくない」ってこともありますよね。 ヤマ(管理人) 深くは関わっても負いきれないことへの怯えなんだろうかね(笑)。たぶん深く関わること自体を怖れているのではないように思うんだけど、リーがポロックを負ったようには負えないものでしょ、普通は。 だからこそ、底浅く本質は知らずに来ているかもってことが、ちょっと刺さってくる感じがあるんで(苦笑)、元々自分を惚れっぽくはないって思っていたら、ああいう感慨は抱かなかったような気もするんだよね。けど、もう僕くらいの歳にもなると尚更コワイとこあるなぁ(苦笑)。 (ローズさん) でも、ヤマさん、爽やかにモテるからお幸せですよね〜。 ヤマ(管理人) モテるだなんて、そんなことないよ〜(笑)。若いときから、いい人とか相談相手とかいう感じに見られて、あんまり異性としては見てもらえなかったという苦い記憶ばかりでさ(苦笑)。 (ローズさん) それって聡明で人間性が豊かな男性の宿命かもしれません(笑)。 ヤマ(管理人) 宿命なの? それって(とほ)。なんでなのかなー(苦笑)。 (ローズさん) 恋人や妻に母性を求める男性って嫌いなんですけど日本の男性にありがちですね。 ヤマ(管理人) どうもそういう傾向が強いみたいだね、多くの女性がそう言ってるように思うもの(苦笑)。 (ローズさん) これって母親の男子の育て方と接し方が要因ですね。 ヤマ(管理人) なるほど、そうかもしれないね。それと、父親の存在感の希薄さなんだろうな。 (ローズさん) さきほどヤマさんがモテないと言ってたのはご謙遜だと思いますが。 ヤマ(管理人) 違ャう違ャう(笑)。異性として見られない後遺症ってけっこう根深いもの。 (ローズさん) 聡明で大人な女性にヤマさんはモテると思います。 ヤマ(管理人) お、嬉しいこと言ってくれるね〜。 僕もそう負け惜しんでたもんだ、若かりし頃(たは)。 (ローズさん) ヤマさんの掲示板に集う素敵な女性たちに愛されていらっしゃる。 ヤマ(管理人) 愛されてるの?(あは)。支持はしてくださってるんでしょうけどねー。 (ローズさん) はい、愛されています。 ヤマ(管理人) ありがたくも嬉しいことだよ、実に(感謝)。けど、それって愛とは違うような…(笑)。 まぁでも、確かに僕の掲示板は圧倒的に女性の書き込みのほうが多いし、ローズさんのみならず、みなさん、とても素敵な大人の女性ばかりですよ。 (ローズさん) レギュラーのみなさんは知性と品性のある方々で素敵ですね。 ヤマ(管理人) わっかい娘なんてほとんどいませんね(笑)。とんがった人もいないし。とても、ありがたく光栄なことだと思ってます。 (ローズさん) 知性と人間的な豊かさは男性の最大の武器です。 ヤマ(管理人) えへ〜、ありがと〜(喜)。僕の掲示板をそういうふうな視点で見直せば、ある意味、ほとんどハーレム状態と言えるかもしれないな(笑)。 (ローズさん) かなりレベルの高いハーレムですね〜☆ ヤマ(管理人) あは。現実生活では絶対に得られないものだったね、これは(笑)。次回更新では『誰も知らない』をめぐっての掲示板過去ログ編集採録をアップするんだけど、それ見ると、ちゃんと男性陣の発言もあるんだけど、どうも印象的には女性の書き込みのほうが目立つ感じはあるよね、なぜか(あは)。 (ローズさん) 母性本能をくすぐられる男が好きっていう人がいるけどそういう男を好きになってもきっと・・・。 ヤマ(管理人) 全面的に存在自体がそういう奴ってダメだよね。そうでない奴に部分的にそういうとこを見つけて許容できるときには、それがけっこう密の味になったりもするんだろうけど(笑)。 (ローズさん) 漱石が好きですが漱石の関連本にこんな逸話が・・・。漱石は近所の鰹節屋の女将さんに惚れて散歩のときわざわざ店を通ってそっとかいま見るんです。彼は妻以外の女を心の内に求めることを否定しないで「心だけの不倫なら、それもまたよい」などと言っていてやってることが子どもっぽくてなんとも微笑ましい。 ヤマ(管理人) 確かに、なんか微笑ましいね。僕は、各人の力量に見合って付き合いを深めること自体においては、一概に婚外交渉だとかいうことで、良いとか悪いとか言えるようなものじゃないと思うけど、生じる結果については、良し悪しが起こりうるものだから、良い結果を生じさせる力量もなく踏み入れると、散々なことになりかねないようなことだとは思うね、不倫っていうのは(笑)。 (ローズさん) 「当人の気質というか体質的なもの」で恋模様も人それぞれですね。 ヤマ(管理人) そうそう。 (ローズさん) 「心の不倫のほうが始末が悪い」と言う人もいますね。 ヤマ(管理人) ああ、そういう意見というのもあるよね。一面もっともな側面もあるけど、上にも書いたように、僕は、不倫だからどう、という形での良し悪しは一概に言えないと思ってるので、心と体みたいなのを峻別してどっちがってな発想はあまりないね。 (ローズさん) そうです、そうです、おっしゃるとおり。 ヤマ(管理人) でしょ(にこ)。 (ローズさん) 私は漱石の考え方に共感しますが。 ヤマ(管理人) なるほど。「心だけの不倫なら、それもまたよい」っていうことね。まぁ最も無難だし、それでいて精神衛生上は良さげだし、いちばん賢明な身の処し方かもしれないよね。 (ローズさん) 心だけの不倫なら許されるというのではなく“恋愛のあり方”が千差万別で。 ヤマ(管理人) 勿論それはそうだね。 (ローズさん) でも、心底惚れる男に出会ったときどういう展開になるのか未知の世界で見当がつきません。 ヤマ(管理人) なるほど。そりゃ確かにそうだ。未知の世界の展開など我が事でも想像に難いものだよね。 (ローズさん) だからヤマさんの「“惚れる”ということの本質を知らずにきているのかもしれない。」に共感します。 ヤマ(管理人) リーのように一旦は自らを放棄してまでっていうふうには、なれそうにもないってことだよね。 (ローズさん) -----ヤマさんの日誌より引用----- 「自分というものの優先順位を応分の範囲でしか譲ることができずにいる。それからすれば、リーの人生はポロックの死後にもう一方をも果たしたわけで大したものだという気がする。」 ポロックを世に出すまでリーに打算はなかったですよね。 ヤマ(管理人) そうなんですよ。だからこそ、僕も「“惚れる”ということの本質」なんてことを想起したんでしょうね、きっと。 (ローズさん) 彼の才能を信じてゼロ以前からの出発でした。花開いた後にポロックが醜く壊れていくときに別居はしても「私は別れない。」と言い放つリー。 ヤマ(管理人) 腹が据わってるよね〜(笑)。 (ローズさん) 彼の死後、自分の花をみごとに咲かせるリーの逞しさも凄いです。 ヤマ(管理人) そうそう。これだけの人物だったから余計に献身の凄みが増したんだよね。 (ローズさん) 彼の死後、自身が開花したリーはそれだけの人生を歩むに相応しい生き方を全うしたと思うし、ポロックの非業の死が報われたような気がしました。 ヤマ(管理人) 僕はむしろ、彼の死そのもののほうが贈り物だったような気がしました。 (ローズさん) わっ、そういう捉え方、いいですね。 ヤマ(管理人) あ、そぅお?(嬉々) だってねぇ、あんな手の掛かる奴でも、生きてれば、リーは黙殺できなかったろうし、ねー。 しかも、日誌にも書いたように、ポロックが切り開いた画期的な新天地に更なる新境地を求めようとすれば、絶望的な行き詰まりに見舞われるのは無理からぬことかもしれないのだから、… (ローズさん) ふたりが出会ったときポロックはすでに行き詰っていてその生き地獄から救い出してポロックの絵画を花開かせたのはリーですしね。 ヤマ(管理人) でも、だからこそ、再度の行き詰まりは更にどうしようもなく深く絶望的だったように思うんだよね。だから、彼が死なずにそのなかでボロボロを続けてると、いつまで経ってもリーは、自身の才能を開花させる“いとま”がなかったような気がしたから、ね。 (ローズさん) ポロックはもうもう限界でした。 ヤマ(管理人) でしょ? 僕もそう思ったし、本人もそう思ってたんじゃないのかな。 (ローズさん) こんどはリーが解放されるときが訪れたのですよね。 ヤマ(管理人) そうそう。 (ローズさん) -----ヤマさんの日誌より引用----- 「それにしても、本人そっくりとの評判だったというエド・ハリスによるポロックの姿が晩年あの様相だったとすれば、とても四十五歳を待たずに死んだ男とは思えない老けようだった。」 そうそう、「エドさま、ポロックを演じるには年齢が・・・」と危惧したのですが、ポロックは老けていたみたいですね。 ヤマ(管理人) 映画のなかでの晩年のポロックは、エド・ハリスの実年齢以上に老けてるように見えてましたもの。あれでよく愛人を得られるものだと半ば感心(笑)。 (ローズさん) ひどい、ヤマさん、ポロックのことぼろくそに言うけどわりとセクシーじゃない? あっ、タイプじゃないですよ。 ヤマ(管理人) セクシーだって?(驚笑) タイプじゃなくっても女心をくすぐる魅力というのは、確信もって感受できるってことだよね。やっぱ女心は、僕には測り知れないよ〜(笑)。 (ローズさん) メールの表現ってビミョーに誤解されますよね(笑)。くすぐられてませんよー。 ヤマ(管理人) あ、そーだったの?(ごめんごめん) (ローズさん) 私なんか太刀打ちできないモンスターだし芸術家ってエキセントリックだし。 ヤマ(管理人) なかなか普通人では付き合えないよね(笑)。芸術家がみなエキセントリックだとは思わないし、エキセントリックに振る舞うことで芸術家ぶろうとしてるだけのようにしか見えない奴などは、とるにも足らないけど、ポロックはそうではなくて尚かつエキセントリックだったんだろうね。 ま、彼が若い女性を連れられたのは、既に有名人だったわけだから、せいぜいでそのおかげ?ってな感じでさぁ、女心は測り知れないわけです(笑)。 (ローズさん) 名声とお金があれば、ブサイクでも愛人はできるらしい。 ヤマ(管理人) どっちもない僕には、可能性0だね、こりゃ(笑)。 (ローズさん) ご本人の写真を探してみましたがやはり似てますよね。 http://www.ntv.co.jp/kokoro/jackson.html http://www.dnp.co.jp/museum/nmp/artscape/topics/9902/ichihara/ichihara.html ヤマ(管理人) あ、ほんとだ。こりゃ似てるわ。 (ローズさん) こちらを読んだらポロックの試みたモダンアートへの取り組みの苦しみは壮絶なものだったことがあらためて窺い知れました。 ヤマ(管理人) 僕も読んでみた。拙日誌に「ピカソを“何もかもやっちまったクソ男”と呼ぶポロックが、自身の切り開いた画期的な新天地に更なる新境地を求めようとすれば、絶望的な行き詰まりに見舞われるのは無理からぬことかもしれない。」と綴った部分の妥当性を補強してもらえるようにも感じましたよ(礼)。 (ローズさん) そうそう、ヤマさん、ちゃんと指摘なさっていたので。 ヤマ(管理人) うん、あそこんとこは、あの作品の肝の部分の一つだしね。 (ローズさん) 「フォルムの破壊という意味では彼は再先端を行っていたが、よく考えてみればこの命令を遂行することはさして困難ではない。しかし、自分に跳ね返ってくるその反動を受け入れるには、彼はあまりにもひ弱な精神しか持ち合わせていなかったのだ。(中略)しかし、相次ぐ失墜にもかかわらず、というよりイカルスのように失墜し続けたからこそ、ポロックは、絵画だけでなくアートの絶対的に新しい地平を切り開くことができた。それは、アートのマテリアリティ(物質性)というモダンアートの究極のフォルムだったのである。」という文章を読んで、苦しみ続けたポロックの魂が報われたような気がしました。 ヤマ(管理人) それだけのものを絵画として表現し得ていたということなんですよね〜。この方が使っている「絶対的に新しい地平」って物凄い言葉ですよ。それを冠することができるだけの作品を遺したってことですからね〜、彼は。 (ローズさん) このポロック評は納得しました。 ヤマ(管理人) ローズさんのおかげでよいテクストを読ませてもらえましたよ(感謝)。 (ローズさん) ポロックの絵が今も人々を魅了し続けるのは彼がただの天才というだけではなさそうですね。 ヤマ(管理人) ただの天才ではなく、「絶対的に新しい地平」を切り開いた天才ってことですよね。実際にそれが失墜を続けたことで得られたものなのかどうかはともかく、そういうロマンを被せたくなるような破格さを感じさせてくれますね。その点では、「エド・ハリスがこの映画でいちばん描きたかったのは、ポロックの生き様というより、彼が悶々と格闘し続けたポロックの芸術そのものだったのでは」とローズさんがお書きのようなコンセプトでこの映画が撮られていることが、大きな説得力を生んでると思います。だから僕も、拙掲示板でのFさんの書き込みへのレス(No.5240)に、そこんとこを「この作品の最も優れている部分じゃないでしょうか。」って書いたんですよ。 (ローズさん) 好きなハリスが演じているからということもありますが、どうしようもなく困った人なのだけどいとおしくなるような崇高な精神を感じずにはいられないのはそれなのだと思います。 ヤマ(管理人) ここ、ここ!(笑) あんな生活破綻者の飲んだくれの浮気者にきちんと崇高な精神を感じ取って、仮にタイプじゃなくても惚れられるんだから、女性って測り知れなく、また凄いもんだよな〜(笑)。 (ローズさん) 惚れてないですよー(笑)。 ヤマ(管理人) あはは(失敬失敬)。 (ローズさん) もちろんハリスさまには惚れてますけど。 ヤマ(管理人) 十年間練習したなんて聞くと、また一段と惚れ直しちゃうんでしょ(笑)。 (ローズさん) 「ただの生活破綻者の飲んだくれの浮気者」が描いた絵ならだれの心を動かせないし。 ヤマ(管理人) うん、だから「ただの」ではないね。でもねー、人が心を動かすのは常に非日常性の部分に対してだから、ある意味、真善美とは乖離するものであることもままあるわけだよね。 (ローズさん) 芸術にのめり込んだが故にますます生活破綻者の飲んだくれの浮気者になったのでしょうか。 ヤマ(管理人) 芸術のせいにしちゃイカンだろう、そりゃ(笑)。それしちゃあ、見苦しいもの。やはり芸術は彼にとっては救いであって、それがあればこそ野垂れ死にしなかったわけで…。 まぁでも、やっぱり最後には追い詰められ滅んでいったわけだけど、それは芸術が彼を滅ぼしたというより、彼の虚弱さではあそこまで生き延びるのが限界だったってことなんじゃないかな〜って僕は思うよ。 (ローズさん) はっ!そうかっ!ポロックの芸術性と気質は別物で死の要因は虚弱さですよね。ヤマさんの「やはり芸術は彼にとっては救いであって」という捉え方はこの映画を観た私にとっても救われる言葉です。 ヤマ(管理人) なまじ才能がなければ、確かにあんなふうな追い詰められ方というか、行き詰まり方はしなかったかもしれないけど、元々彼をアル中に向かわせたのは、芸術ではなかったみたいだしね。 |
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by ヤマ(編集採録) |
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