『ロック、ストック&トゥ・スモーキング・バレルズ』(Lock,Stock & Two Smoking Barrels)
監督 ガイ・リッチー


 ちょっとしたオチ話のようなもので、たいした話ではないのだけれども、キャラクター作りの面白さとキャスティングの上手さ、話の展開や運びの見事さで鮮やかな印象を残してくれた。何よりも映像の持っていたリズムが抜群で、作り手のセンスの良さを窺わせてくれる作品だ。そういう意味で、近頃にわかラッシュのようにして公開されているイギリス映画のなかにあっても出色の作品だったように思う。

 裏世界の住人ばかりが織りなす物語でありながらも、正統的なワルの凄みを外して、奇妙で風変わりな愛嬌すら漂わせる人物造形をしているところが楽しめた。筋書も、裏世界ものにありがちな奇抜で周到な計画に加えて起こる不測の事態への俊敏で頭脳的な対処というパターンからは、とんでもなく外れている。偶然と誤解の奇跡的な重なりによる、まるで嘘くさくて、とぼけた味のノリなのだが、展開のスピード感と映像の持つリズムにキャラクターの味が実によくマッチしていた。どこにも華のない役者ばかりを使っているからこその味わいだ。

 こういう映画こそ、まさしくムービージャンキーの上映会に相応しい作品だと思う。近頃の過密状態のオフシアタースケジュールのなかで、危うく見逃すところだったが、そうならずに済んで良かった。しかし、今のこのペ-スが続いていくと、観るに越したことはない映画を観ることで必見作を見逃してしまう憂き目に会いそうな気がしないでもない。




推薦テクスト:「Fifteen Hours」より
http://www7b.biglobe.ne.jp/~fifteen_hours/LOCK-STOCK.html
推薦テクスト:「This Side of Paradise」より
http://junk247.fc2web.com/cinemas/review/reviewr.html#lockstock
by ヤマ

'00. 1.26. 県民文化ホール・グリーン



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―

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