『ポーラX』(Pola X)
監督 レオス・カラックス


 何とも困った映画である。意図的に人物関係を判りにくくした演出にしても、これみよがしな声高の映像にしても、ストーリー展開上の省略と詳述の選別にしても、思い込みと独善に満ちていて、それを作家性だと勘違いしている節がある。支持愛好者にはたまらないのかもしれないが、「おいおい、観客にすごんで見せてどうするんだよぉ」ってな気分になった。原作のタイトル(Pierre ou les ambiguites)の頭文字に解かれぬ謎を意味するXをつけた製作中のコードネームをそのまま公開時の作品タイトルにしたなんてのも嫌らしい趣味だ。
 ピエール(ギヨーム・ドパルデュー) が従兄のティボーとの間でリュシー(デルフィーヌ・シュイヨー)を挟むトライアングルに、リュシーがマリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)というピエールが姉呼ばわりしている母親との間でピエールを挟むトライアングルがあって、そこに更にイザベル(カテリーナ・ゴルベワ)というピエールの姉を名乗る女とのトライアングルが重なるという、近親相姦愛好者には何とも贅沢な舞台が設えられているのだが、絶望的な愛とともに破滅へと向かう男と女の濃密で激しい抜き差しならない感情が掬い取られていたようにはとても見えなかった。
 標榜しているものと内実が全く噛み合っていないくせに、見せ掛けだけ構え込んで、居直り強盗のようにすごんで見せるという、いささかたちの悪い品性の卑しさを感じた。

推薦テクスト:夫馬信一ネット映画館「DAY FOR NIGHT」より
http://dfn2011tyo.soragoto.net/dayfornight/Review/2000/2000_01_17_2.html
by ヤマ

'00. 1.21. 県民文化ホール・グリーン



ご意見ご感想お待ちしています。 ― ヤマ ―

<<< インデックスへ戻る >>>