先生や友達に支えられて歩んで来た事を書き綴ってきたが、進路については僕ほど中途半端な人間はいない。
音楽が好きといっても、ピアノは弾けないし、音楽大学には行けない。
体操が好きといっても、国体の予選で落ちるようではアスリートにはなれない。もし国体に出場できていたら、日体大に推薦でいけただろうが、それも叶わぬ生徒だった。
唄が旨いといっても、上京して有名な歌手あるいは先生の弟子になるほどの勇気はない。
英語が好きといっても、久山君のように一発で東京外国語大学に受かるほどの実力はない。
宇宙が好きといっても有名な国立神戸大学物理学部には受からなかった。受験勉強もしないで受かるわけがない。
残るは電気工学、電子工学だ。「これからは真空管から半導体へと変わる時代だ。今がそのチャンスだ」ということは知っていた。アンプ製作は好きだったし、電子工学の道に進むことが、これで決まった。東京電機大学電気通信工学科に受かった。