あの采配は果たして正しかったろうか。
かの将を放逐したときから、己はそんな悩みに囚われるようになっていた。
将が浦西県吏を公明正大だと称したのは、故あってのことではなかろうか。
では臣が、県吏に謀反ありと言ったのは何故なのか。
分からなくて、ごちゃごちゃして、誰を信じて良いやら分からなくなった。
そんなときも、ずっと己の傍にいたのが廉だった。
廉は件の将と同じ位で、それだけに己よりも悩んでいるはずだった。
けれど廉は公と私を分ける性格だったから、己の前でそのような表情をするようなことはなかった。
己は「
臣の言うことはよく聞くものだと思っていた。し、そう教育されていた。
迷うことなんてない。
己は臣の言うことさえ聞いていればそれで良いと思った。