しばらく走ったところで、全員へたり込んだ。
腹が痛い。呼吸が苦しい。
四人のゼイゼイという荒い呼吸が異口同音に響く。
「飢えた野犬のようだな」
闊達に抱えられていた角少年は、一人立って他四人を見下ろしていた。
「何というか、死屍累々だな。役に立たん」
お前が言うな! 少年以外の全員が思ったに違いない。逃げる最中、ずっと足手まといだったろうが。
一番最初に復活したのは勇允だった。両刃剣を支えに、片膝を立てて呼吸を落ち着かせる。
「お前なあ」
「まあ、きゃつらが追ってくる様子はない。安心してへばっているが良いぞ」
少年の態度に呆れて声も出ないが、確かに見張りにはもってこいかも知れない。勇允は少年のやりたいようにさせることにした。
「けど何で君は狙われてたの?」
冲和が起き上がりながら話しかけてくる。
「知らん、私は知らん」
いやいやをするように、角少年はかぶりを振った。
「ふうん?」
「そんなことよりも、ほら、邑があるぞ」
何か慌てた様子で角少年は看板を指さす。そこには確かに「
「宿代は」
「大丈夫、彼が持ってくれるそうだ」
金銭感覚のしっかりしている冲和がそう訊けば、闊達は明快に応えた。その顔は角少年の方を向いていた。
「じゃあ僕宿取ってくるね。ついてきて」
角少年を引き連れて、冲和は邑へと駆けていった。
冲和の報告に寄れば、宿は中の下ぐらいで落ち着いたらしい。角がさんざ駄々をこねていたが、お金は無限じゃないのだから仕方がない。