古びた遺構群
古い鉱山道路を遡る。
舗装が痛み現在はほぼ使用されてない道だ。
鉱山は昭和11年(1936)〜昭和30年(1955)までの稼行と資料にはある。
鉱山道路を外れて山に入るとすぐに遺構がある。
人工的な平場にRC製の廃祉が埋もれている。
どうやら選鉱か積込の施設のようだ。
遺構は何かの土台で、かなり劣化している。
軌道や火薬庫の存在も資料にはある。
この遺構群はかなり古いようだ。
遺構は続く。
孔雀坑という優雅な名称の鉱区もあったようだ。
更に登る。
時代によって
マンガン鉱から亜鉛鉱に、
水銀からゼオライトへ
と採掘対象が変化する鉱山はよくある。
本坑も石灰石→鉄鉱石→銅鉱と変化してきた。
正方形の水槽がある。
水深はかなり深いようだ
。
おそらく浮遊選鉱の水瓶だと思われる。
浮遊選鉱は細かく砕いた鉱石を、
油や起泡剤を加えた水の中に入れて、
濡れにくい鉱物粒子を気泡に付着させて分離・回収する方法である。
基礎のようなコンクリート製の遺構もある。
M10程度のアンカーボルトが設置してある。
この上に建屋があったのかもしれない。
同じようなコンクリート遺構が並ぶ。
コンクリートはその重さが長所となり短所となる。
圧縮には強く引張強度には弱い。
他にも等間隔に並ぶ基礎がある。
二次破砕のボールミルや浮選機などの重量物を、
支えるための基礎かもしれない。
正方形の基礎コンクリートにアンカーボルトが設置してある。
アンカーボルトとは基礎から突き出している埋め込みボルトの事で、
振動を伴う電動機(モーター)などをここへ設置したのだ。
鉱山と選鉱所の位置関係は近い方がいいものの、
製錬所との運搬系統や、
周辺地域との鉱害への懸念、水路やズリの搬出経路などに大きく左右される。
d10程度の鉄筋が捻じれている。
選鉱の主工程、粉砕の意義は、
表面積の増加、異種成分の分離、混合の緊密の3ポイントとなる。
粉砕後の粒の大きさはその鉱物や後工程の選鉱機械の種類により範囲が決められており、
金属鉱物は0.2〜0.3o以下、非金属鉱物で0.6〜0.8o以下とされる。
浮選給鉱の粒度が荒いと選鉱成績が下回る可能性が高い。
厚みのある円筒がある。
クラッシャーとサイクロン間や分級機とシックナー間などの、
泥状の鉱石の流路かもしれない。
資料によると5回の鉱業権者の変更、電錬所(電気精錬所)への送鉱が明記されており、
鉱区も混在、確実な鉱山名さえ特定できなかったが、
産業の痕跡があった事実は未だ色濃く残る。
戻る