愛山渓水銀鉱山跡  探検: 北の細道 愛山渓鉱山

愛山渓水銀鉱山、マーキュリーの憂鬱




北海道上川町


  昭和31年(1956)、熊本県や新潟県の窒素化学工場からの廃液に混入した有機水銀が、
魚や貝を経由して人体に悪影響を及ぼした公害事件が『水俣病』だ。

ビニールの原料であるアセトアルデヒドを生成する際に、
アセチレンに水分子を付加する過程で触媒として水銀を使用、発生するメチル水銀(=有機水銀化合物)は、
人体の元となるたんぱく質を構成する物質の一つであるアミノ酸と構造が似ているため、
海に流出したメチル水銀を摂取した魚介類を飲食することで、
人体に取り込まれ、代謝されることなくアミノ酸と誤認されまま体内に蓄積する。


水銀は固体から液体になる温度、つまり融点が‐38.9℃と常温で液体である唯一の金属である。
前述のとおり有毒性が印象にあるが、
水銀には『無機水銀化合物』『有機水銀化合物』『金属水銀』が存在する。

毒性の高くない『無機水銀化合物』は一般に硫化水銀と言われる状態で自然界に存在し、
赤色で鳥居の塗料や高級な朱肉などに利用される。
雨水には溶けず、金属素材に被膜を作るため防錆材としても利用される。

『有機水銀化合物』は前述の通り、神経毒と呼ばれ食物連鎖によって体内に蓄積、
新陳代謝によって体内から半減するまでに70日を要し、長期間体内に留まることとなる。
高度成長期には排出基準対策が整備されずに、重大な公害が発生してしまったが、
現在は環境に配慮した基準値が設定されている。


『金属水銀』はかつて 金の精錬に流用された。
他の物質と反応しにくい金であるが水銀とは反応し、アマルガムと呼ばれる合金を生成する。
金鉱石を粉砕、水銀と処理した金鉱を加熱して水銀だけを蒸発させて金を抽出するのである。

また、温度計に利用されていたのも周知の事実だ。
水銀は熱膨張率が安定しており、熱しにくく冷めにくい。
つまり計測器として水よりも遥かに安定している訳である。

過去には殺菌力を流用した消毒液(赤チン)として市販され、
現在でも蛍光灯は水銀蒸気中の放電を利用して点灯している。


道内の水銀鉱山と言えば、やはり イトムカ鉱山が著名であるが、
昭和30年(1955)から7年間稼働した上川山中の小さな鉱山跡、
鉱床図にある3か所の坑口を目指し現地を歩いてみよう。

坑口・汚泥・温泉・・・



廃バス
( ̄u ̄;)廃バス





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