竹取、心惑ひて泣き伏せる所に寄りて、かぐや姫言ふ。「 aここにも、心にもあら( b )かくまかるに、昇らむを( c )見送り給へ」と言へども、「 @何しに、悲しきに、見送り奉らむ。われを、いかにせよとて、捨てては昇り給ふぞ。具して率ておはせね」と、泣きて伏せれば、御心惑ひぬ。「文を書き置きて dまからむ。恋しからむ折々、取り出でて見給へ」とて、うち泣きて書く言葉は、
この国に生まれぬるとなら( e )、 A嘆かせ奉らぬ程まで侍らで過ぎ別れぬること、かへすがへす本意なく( f )覚え侍れ。脱ぎ置く衣を形見と見給へ。月の出でたらむ夜は、見おこせ給へ。見捨て奉りてまかる空よりも、 B落ちぬべき心地する。
と書き置く。
天人の中に持たせたる箱あり。天の羽衣入れり。またあるは、不死の薬入れり。一人の天人言ふ、
「壷なる御薬 g奉れ。 h穢き所の物 i聞こしめしたれば、御心地悪しからむものぞ」
とて、持て寄りたれば、いささか嘗め給ひて、少し形見とて、脱ぎ置く衣に包まむとすれば、ある天人包ませず。
問1 aここ・f穢き所とはそれぞれ何を指しているのか。★★
問2 空欄b・c・e・fに入る助詞として適当なものを次から選びなさい。★★
ア つつ イ こそ ウ なむ エ さへ オ ばや
カ やは キ ぎ ク ど ケ で コ だに
問3 dまから・g奉れ・i聞こしめしの常体(ぞんざい体)となる古語の終止形は何か。また、敬語の種類は次のどれになるか。それぞれ順に記しなさい。★★
a 尊敬語 b 謙譲語 c 丁寧語
問4 @何しに、悲しきに、見送り奉らむを口語訳しなさい。★★
A嘆かせ奉らぬ程まで侍らでとは、具体的にどういうことか、20字程度説明しなさい。★★★
B落ちぬべき心地するは、誰のどういう気持ちを言うものか。★★★
問5 問題本文は『竹取物語』の一節であるが、この作品のジャンル名、成立した時代、この作品を「物語の祖」と記した作品の名を順に記しなさい。★
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