(天人ガ)御衣を取り出でて(カグヤ姫ニ)着せむとす。その時に、かぐや姫、「しばし持て」と言ふ。「衣着せつる人は、 @心異になるなりといふ。物一言、言ひ置くべき事ありけり」と言ひて、文書く。天人、遅しと、 A心もとながり給ふ。かぐや姫、「 B物知らぬことなのたまひそ」とて、いみじく静かに、朝廷に御文 a奉り給ふ。あわてぬさまなり。
「かくあまたの人を b賜ひて留めさせ c給へど、許さぬ迎へまうで来て、取り率てまかりぬれば、口惜しく悲しきこと。宮仕へ C仕うまつらずなりぬるも、 Dかくわづらはしき身にて侍れば、心得ず思しめさ dれつらめども、心強く承らずなりにしこと。なめげなる者に思しめし留め eられぬるなむ、心にとまり侍りぬる。」
とて、
今はとて天の羽衣着る折ぞ君をあはれと思ひ出で fける
とて、壷の薬添へて、頭中将呼び寄せて奉ら gす。中将に、天人取りて伝ふ。中将取りつれば、ふと天の羽衣うち着せ h奉りつれば、翁をいとほし、愛しと思しつることも失せぬ。この衣着つる人は、物思ひなくなりにければ、車に乗りて、百人ばかり天人具して、昇りぬ。
問1 a奉り・b賜ひ・c給へ・h奉りの敬語について、
(1)動詞の場合は語の意味を、補助動詞の場合は敬語の種類の名を、それぞれ答えなさい。★
(2)誰から誰に対する敬意を表すのか、次の記号を用いて、例にならってそれぞれ答えなさい(例 ア → イ )。★★
ア 作者 イ かぐや姫 ウ 翁 エ 頭中将 オ 帝 カ 天人
問2 dれ・eられ・fける・gすの助動詞の文法上の意味を記しなさい。★
問3 @心異になるについて、その様子が具体的に表現されている30字以内の個所を口語訳しなさい。★★★
問4 A心もとながり給ふについて、
(1)口語訳しなさい。★★
(2)この記述は天人の設定上矛盾していると考えられる。どのような点で矛盾しているか説明しなさい。★★★
問5 B物知らぬことなのたまひそについて、
(1)口語訳しなさい。★★
(2)かぐや姫のどういう気持ちが言葉にされているのか説明しなさい。★★★
問6 C仕うまつらずなりぬるもを、単語に区切ってその品詞名を記しなさい。★★
問7 Dかくわづらはしき身とはどういう「身」か、簡潔に説明しなさい。★★★
問8 問題本文は『竹取物語』の一節であるが、この作品のジャンル名、成立した時代、この作品を「物語の祖」と記した作品の名を順に記しなさい。★
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