Northern White

北の絵日記

タンチョウ、キタキツネ、一面の雪原、「SL冬の湿原号」…。
北海道の旅日記はこちらにまとめることにしました。


道東早春賦 2018

2018.3.10〜13 鶴居村・野付半島・風蓮湖


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3/10 3/11 3/12 3/13

 
 
 3月10日(土) 曇りときどき晴れ  
3月。道東にもようやくかすかに春の気配が感じられる月。ほんのわずかな春の気配が。
…という書き出しで始めたかった今回の絵日記でしたが、その思惑は見事に外されてしまいました。
例年の3月前半であれば、まだ人里にも湿原にも雪が残り、ところどころわずかに顔をのぞかせた土の色がまだ遠い春の訪れをささやく。そんなイメージでした。ところが今年は…。
1月は記録的に雪が少なかった道東も、2月に入って周期的に雪の日があり3月初旬にはまとまった降雪で40cm近い積雪となりました。
ところが3月8日から9日にかけて北海道を襲った春の嵐。暖かい空気の流れ込みとともに大雨が降り続いて積もった雪が一気に融けてしまいました。各所の川が雪融け水で増水、釧路湿原は水浸しとなり釧路川を始めとする河川に近い町では避難勧告や避難指示も出るほどの状態に。標茶町などは一時孤立状態になりました。釧網線・花咲線は全線運休。釧路空港も閉鎖となり3/9の朝便・昼便は欠航。
幸い3/9の最終便から飛行機の運行は再開されましたが、空港に着いたとしても鶴居までたどりつけるかどうか…その日の夜TAITOに電話して状況を聞いたら、9日は路線バスは全面運休だったようで。
「水さえ引けばすぐ運転始めると思うけど…もう雨やんでるしね」
鶴居村内も各所で通行止めが発生していて孤立一歩手前まで行ったそうな。こんなことはタンチョウ撮影始めてから今まで経験ないなぁ。
さて明けて本日。
JAL541便は通常通りに離陸。機内でPCを開いてネットで阿寒バスのページを呼び出してみると…。
「鶴居線は大雨の影響により現在鶴野ニュータウン以北は運休中」と。(・・;)
まだダメか〜!
釧路空港には定時に到着。
到着ロビーを出てTAITOに電話。
「Wさんが迎えに行ってくれるから空港で待ってて!」
という返事。助かった〜〜!
30分ほどしてWさんがいつものワゴン車で来てくれました。たまたま釧路に買い物に出ていたそうで。
「あっちもこっちも通行止めだよ。鶴居から釧路に出るのに普段の倍時間かかったんだから…」
北斗近辺がいまだに冠水で通行止めで仁々志別から大楽毛を回らないと釧路から鶴居には行けないそうで。そのルートを逆にたどる形で鶴居へ。なんとかお昼前にTAITOに着くことができました。
TAITOフロント係のAちゃんの自宅は床下浸水一歩手前だったそうな。
「すごい雨だったんだよ〜!」
確かにこの時期、雨が降ることはあるけれどそこまで降るというのは異常だよね〜。
とりあえず村内大きな被害は出ていないということでホッと。
まずは昼食を済ませ、部屋で一休みしてからサンクチュアリに行ってみることに。
雨が降って雪が融けた…とはいっても、40cmも積もっていた雪が全部融けたというわけではなくまだそこここが白くなっています。そして歩道にはところどころブラックアイスバーンが。
そう、今日は気温低いんですよ。昼間でもやっと0℃。雪が積もっている状態ならなにも問題ないんですが、いったん融けた雪が水になって広がりそれが凍り付いた時は怖いんですよね。文字通りのブラックアイスバーンができるわけで。ほとんどクルマが走ってこないのを幸い、そういう場所は乾いた車道を通って迂回して歩きます。たぶん何も知らない関東の人が来たら、即転倒でしょうね〜。
サンクチュアリに着いてみると、すっかり春の光景。

それでも、それまではかなりな積雪があったのだろうというのはわかります。
いつも雨が降ると水たまりができるナラの木の近くのくぼみ、融け残った雪が半ば凍ってシャーベットリンクになっていました。タンチョウはよく転びませんね〜。(^^;

気温は低いのですが風は穏やかです。のんびりと羽づくろい。

見渡したところ、来ていたタンチョウは30羽ほど。先月の100羽を超える状態から見ると激減していますが、それじゃ後の連中は皆湿原に帰ったのかというとそういうわけではないそうで。なにせ帰ろうにも湿原はまだ水浸し状態で営巣活動に入れる状態ではないようで。数日たって水が引いてくれば徐々に帰っていくんでしょうが。
それじゃいったい他の連中はどこにいるの?ということですが、どうやら雪が融けて畑の土があらわになっている場所が増えたために、そこに集まっているのが多いようです。それでも給餌の9時と14時にはチャッカリとここに来る連中が多いようで、事実14時の給餌が始まる前になると三々五々とあちこちから集まってきました。

この季節、幼鳥の姿が目立ちます。この二羽はまだ親鳥と一緒でしたが、もうすでに子別れされてしまった子もいるようで。この親鳥も時々幼鳥にはそっけない仕草を見せていましたから数日中に子を追い散らすかもしれないですね。もう体は親鳥と大きさは変わりません。

親鳥と一緒に下りてくる幼鳥。子別れというのは親がある日突然子供を追い払うというわけではなく、世話をしながら徐々に距離を置くようになっていき次第に突き放す行動が増えてくるという形をとります。このため、その過渡期においては昼間給餌場では子供を突き放しても塒への行き帰りは一緒に飛んで、塒でも一緒に寝るということになります。
その間、親は自分の子供を突き放しても大丈夫かどうか見定めているかもしれないですね。徐々につれなくするのは独り立ちへの準備をさせるためでしょう。自分たちが繁殖地に戻るまでに独り立ちさせねばならないのですから。

しかし聞いた話では最近は春に子別れをせずに翌年も行動を共にする親子が稀にいるそうです。過保護の風潮がツルの世界にも伝染したわけではないんでしょうが…。

2時間ほど、タンチョウたちをのんびり観察していると、後ろから私を呼ぶ声が。
「夕陽、行くかい?」
和田さんが来てくれていました。三脚を畳んで和田さんのクルマへ。
改めて和田さんから話を聞くと、先日の雨と雪融け水は本当にものすごかったそうで…。
春の撮影定番となるコッタロへ向かう道も通行止め。第一展望台から塘路にかけては完全に冠水、たぶん釧網線の線路も半ば沈んでいるんじゃないかとのこと。それが凍りついたら線路復旧作業はなかなかできないでしょうね。気温の低いうちは…。
丘に登ると、傾いた陽の光を浴びてタンチョウたちがのんびりと畑で餌さがし。これ、本来なら半月後の風景です。それも写り込むのは亜成鳥か幼鳥のはず。

見れば阿寒富士も雌阿寒岳もかなり雪が消えて地肌が見えていますね。雪崩なんかは起きなかったのかな?

その雌阿寒の方向から壊れたラッパのような声が。ハクチョウの一団が頭上を飛び越えていきます。

ハクチョウの群れが飛び去って30分。三々五々とタンチョウたちが飛んできました。雌阿寒を背にやってきた番。

これは家族連れかな。一羽離れて飛んでいるのは幼鳥です。なんとなく親と子で距離を取っているような…。

もう地面に雪がほとんどないので下を向いた翼は白く写りません。12月と撮影条件は一緒ですね。夕陽に照らされて羽がほの紅く染まります。

中にはすぐそばの牧草地に「途中下車」する連中もいます。これも子供連れ。

ウロウロ歩き回ったあげく、陽が沈むころになってもまだ畑で餌さがしをやっていました。

やがて日没。あちこちに分散しているせいか、真冬のように大編隊で飛んでいくシーンは見られなかったですね。いや、一編隊来たんですけどあまりに飛ぶコースが低すぎて写真にならなかったんですが。(^^;

宿に帰ると、noriさんが待っていました。
本当は昨日の昼便でこちらにやってきているはずだったんですが乗るはずの飛行機が欠航。最終便が満席だったのでやむなく日程を一日ずらしたそうです。
明日のお天気は曇り時々晴れ。ゆっくり作戦会議をしましょう。お酒飲みながら…って、noriさん下戸だったっけ。(^^;
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