Northern White ~北の絵日記~

第三部 早春賦

 
 3月10日(月) 曇り 
 
前回の鶴居村行きからちょうど1か月。再び北へ。実はこの前日、道東は大変な荒れた天気になりました。
日本海から北海道北部を通りオホーツク海に抜けた爆弾低気圧のおかげで、道東各地は暴風雪。特に平野部の十勝・釧路管内はすさまじい嵐になり、飛行機も帯広・釧路発着便は終日全便欠航に。影響が長引いたら私が乗る今日の飛行機も危ないかな、と思いましたが、幸い昨日だけで嵐は収まって今日は通常運行に。
昨日TAITOに電話で聞いたら、「また雪が積もったよ~」とのこと。(^^;
前回2月に来た時かなり多かった積雪、一時は消えかかったのですが、昨日の吹雪でまた地面は白くなったとか。さすがに2月の時みたいな積雪ではないそうですが。
飛行機の窓から見た釧路の海岸。確かに多い…真っ白。例年ならこの時期、もう海岸部はほとんど地肌が見えてる頃なんですけどね。

着陸くらいまではいい天気で、これは今日も幣舞橋の夕陽が撮れるかなと思っていたんですが、連絡バスで市内に入ったら空は雲に覆われて、しかも風がまだかなり強い。
この日はおとなしく泉屋に行って…。

スパカツ食べて早めに市内のホテルでマッタリしました。(^^;

 3月11日(火) 晴れ 
朝8:55のバスで鶴居へ。
サンクに行ってみると…。いたのは十数羽。

 
やはり暖かい日が続いたせいか、かなりの番が湿原に帰ったようで。10:30、気温5℃。かなり暖かいです。もっとも昨日の暴風雪で湿原もまた雪を被ってしまったところがあるでしょうから、ちょっと「揺り戻し」で里に帰ってくる番もいるかもしれないですね。
この春先、彼らは「行きつ戻りつ」を繰り返します。だから給餌場のタンチョウの数はその日によって大きく変動するのが今の時期。
しかし、それももう終わりを告げます。給餌の終了は明日。3月12日。
番が踊る背後の林を見ても、どことなく春めいた感じがしますね。
まあ、これでも関東の感覚で言えば充分寒いんですが。(^^;

それでも、昨日降った雪のせいでサンクの積雪は例年以上に多い。いつもの春ならもう斜面のあたりまで雪が消えてることが多いのですが、今日はタンチョウの足先が雪で埋もれるくらいですから。

ちなみにタンチョウへの冬季給餌期間というのは毎年同じ日程で決められており、11月16日から翌年の3月12日まで。今冬の場合は鳥インフルの影響で給餌の開始日が大幅に遅らされ12月5日からとなりましたが…。もちろん大寒波の襲来による大雪等で生息地での自力での採餌が困難と思われるような気象変動があった場合は給餌終了日を遅らせることもありますが、昨日程度の暴風雪くいらいでは影響はないと判断されるようですね。
雪が多いですが、陽射しは暖かい。
タンチョウたちは思い思いにリラックス。羽づくろいをしたり、伸びをしたり。

ほんとうに光が柔らかい…春の光だな。

空も春の色。淡青。

この番はこのあとらせん状に回りながらはるか高みにまで昇って、そのあとすうっと南東の方角に飛び去りました。湿原に帰るんでしょうね。
やがて14時の給餌の時間。この時間になるとややタンチョウの数は増えました。30羽ちょっと。

気分がハイになって浮かれ踊ったり、ケンカして追っかけっこをしたりは真冬と同じですが…

気になったのは幼鳥の数が少ないこと。もう繁殖地に帰った番が多いとなれば置き去りにされた幼鳥が目立つはずですが、思ったほどいない。どこに行ってるんだろう??
と思っていたら単独で飛んで来た幼鳥。

もうだいぶ前に子別れされたんでしょうね。ひょっとすると今年は暖かかったから生まれ月の早い幼鳥は2月中に子別れをされて、それぞれ彼らなりに行動パターンを作りつつあるのかもしれません。
こちらにはまだ親鳥と一緒に居る幼鳥が。

でもその様子をじっと見ていると…。

時折親鳥が幼鳥を突いて突き放しような仕草を。
これ、子別れの初期段階の親鳥の行動です。自分の子供の世話をしつつも時々突き放す。やがては世話をする行動より突き放す行動のほうが目立っていって、徐々に子供を自分から遠ざけていき、ある日突然、激しい攻撃で幼鳥を追い払います。
おそらく早ければ数日中遅くとも一週間以内にその悲しい別れが訪れることでしょう。
この日はそんな彼らの姿を夕方まで眺めて、宿に入りました。
この日の夕食にはカニが出ましたよ♪

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