蘭島   9163(9263)レ 然別〜仁木〜余市〜蘭島

 銀山を通過したC62は、稲穂峠を一気に駆け下ります。来るときには比較的ゆっくり(並みの蒸機とは比べ物にならないほど速いけど)流れていた車窓の林も、帰り道の下り勾配ではスイスイと後ろに流れていきます。それでも、峠を下っている間はまだブレーキ扱いしながら走ってますが、然別あたりまで下りてきて勾配がゆるやかになると俄然C62は速度を上げ始め、窓の外の景色はそれこそ飛ぶように流れるようになります。
 進行方向右側はもう完全な平地。左側にあった山も次第に後退していき、余市川の鉄橋を渡ると再びC62は広々とした平地の中に戻っていきます。
 この余市川の鉄橋と併行して「月見橋」という道路橋があるんですが、ここから見るC62はすさまじい速さで鉄橋を通過していきます。下の写真はISO400のモノクロですが、この時同時に撮ったリバーサルのほうはモノの見事に動態ブレを起こしていました。(^^;
 (↓1990年5月 然別〜仁木)

然別〜仁木 9163レ

 下り「C62ニセコ」は余市で20分ほど停車します。これは当初、ホーム上での観光物産の販売などが行われていたからですが、年を追うごとにホーム上の出店は少なくなっていってしまい、末期の頃はほとんどただの長時間停車になってしまいました。
 クルマで撮影をしている人たちは、この余市の停車時間を利用して列車を追い抜き、蘭島や塩谷でもう一度撮影、というパターンが多かったですね。なにせこうした長時間停車でもなければ、相手は俊足を誇る急客機。とっても追っかけ撮影なんてできません。いったん平地に出てしまえば平気で70〜80km/hでかっ飛んで走ってるヤツですからね〜。山口や磐西のC57なんかメじゃないんですから、ホント・・・。
 余市を発車すると大きく右にカーブを切って、再び国道と併行するように走っていきます。このあたりは、海からの風を防ぐ防風林が線路の北側に続いている場所が多かったですが、C62は余市発車直後のカーブをちょっと過ぎたあたりまで煙を吐くだけで、あとはほとんど煙ナシで軽快にすっ飛んでいきます。蘭島トンネルの手前にフゴッペ洞窟という古代遺跡があるのですが、その遺跡に通じる踏切の近くから撮ったのが下の写真。この時は天気が悪く、この時間(15:30過ぎ)にはもうかなり暗くなり始めていて、ほとんど夕暮れのような感じになっていましたが、背後の積丹の山並みはよく見えていました。
 (↓1990年5月 余市〜蘭島)

余市〜蘭島 9163レ

 蘭島の駅は本来は通過ですが、一時期運転停車が行われたことがありました。蘭島発車のシーンを撮られた方もおられるのでは・・・?私は残念ながら一度も発車シーンは撮れませんでしたが。
 GWの頃になると、この駅の上りホームの脇に植えられた桜が咲きます。花の時期がC62の運転日に重なるかどうかは年によって違いましたが、この時はなんとかうまく時期がマッチング。これは反対側の下りホームから撮ったカットですが、上りホームから桜を手前に入れて正面気味の絵も撮ってみたかった・・・。
 (↓1991年5月 蘭島)

蘭島駅 9163レ

蘭島海バック

 蘭島を通過すると、列車はゆるく右にカーブを切り始め、国道5号線から離れていきます。遠方信号機を過ぎるあたりから20‰の勾配が始まり、この先有名な一本木の跨線橋をくぐり、忍路トンネルに入るまで勾配が続いていきます。
 その、カーブを切り始めるあたりのC62の姿を俯瞰できる場所がありました。ここからは線路の向こうに日本海を望むことができ、そのさらに向こうには遠く積丹半島の姿も見えて私はお気に入りの撮影ポイントでした。「蘭島海バック」と誰もが呼んでいた場所ですが、ここは道路から装備をかかえてひたすら10分ほど坂を攀じ登らないと到達しない場所で、追っかけなんかをしていたときは時間との競争でしたね。ポイントに着いたときにはもう蘭島トンネル進入の汽笛が聞こえて、息を弾ませたままカメラを構えるということも何度あったか・・・。(^^;
 (1991年5月 蘭島〜塩谷)
蘭島〜塩谷 9163レ