倶知安峠   9162(9262)レ 小沢〜倶知安

 その・・・伝説の大空転でC62が停止した200.6km地点というのがこのあたりです。ここはC62重連時代はけっこう人気のある撮影地だったそうで、国鉄時代のこの場所の写真というのはいろんな写真集で見かけますね。昔はハエタタキが目立つ場所だったようですが・・・。この時は夏の青空が気持ちよく広がっていました。運転日も増え、C623の前途は洋々と思われていた時期です。
 (↓1989年7月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9162レ

200kmポスト
 ここは知らない人はいないでしょう。(^^) 
 定番中の定番です。国道5号線がオーバークロスする場所で、何度も鉄道雑誌のガイドに紹介されました。ところが、私がここで撮影したのはただの一度、この時だけ。(^^;
 お約束の「200」のキロポストをC62にからめてみたい・・・と思って行ったんですよね。でも撮影ポイントとしては、横に小道がかなり目立つ形で写りこむので、あまり好きにはなれませんでした。
 (↓1989年5月 小沢〜倶知安)

200キロポスト 9162レ

 200kmで国道5号線をアンダーパスしたC62は再びR250の小さなSカーブを回り、峠の後半の道のりを急ぎます。この、国道をくぐってから199kmポストに至るあたりの間も隠れた人気スポットで、1994年の鉄道の日特別運行の際に大空転を起こして停止したのも199kmポスト付近です。
 C62の煙が黒っぽいのは、ストーカーと重油を使用して連続投炭を行う機関車の宿命のようなものであったらしく、あの急行「ニセコ」の頃、乗務員はこの機関車に乗るのを嫌がったそうです。顔と言わず、腕と言わず、普通の機関車に乗務するときの倍以上に汚れ、風呂場で肌をタワシで擦ってようやく元の状態に戻るくらいだったという話が残っています。
 そんな、かつて乗務員を泣かせた黒煙は、時として晴れた空を覆ってあたり一面を暗くしてしまうこともありました。芽吹き始めたばかりの新芽も迷惑そう・・・。(^^;
 (↓1989年5月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9162レ


勾配標直線(198.7km地点)

 その先のカーブを立ち上がると、しばしの間直線がつづく区間に出ます。それまで度重なる急カーブに苦しめられてきたC62は、この直線で一気にスパートをかけて猛然とダッシュしてきます。しかし直線とは言っても、勾配は20.8‰。決してC62にとって気の抜ける場所ではありません。
 この直線区間の一番南側、左カーブを切り始める手前に20.8‰を示す勾配標があり、ここも私のお気に入りの撮影ポイントでした。いつの頃からか、私はここを「勾配標直線」と呼んでいました。
 (↓1990年10月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9162レ

 運転初年度の試運転、私の記念すべき「C62ニセコ」の初ショットが下の写真です。
 実は何故最初にここに行ったかというと、キッカケはあの映画「雪の行路」でした。あの映画で倶知安峠のシーンはほとんど空撮なんですが、唯一マトモに地上から撮っているシーンがここなんですよね。S字カーブを立ち上がり、直線を駆けてくる・・・。あのシーンと同じ場所で撮りたくて、友人に場所を教えてもらい、他の場所には目もくれずにここに足を運んだのです。
 ほとんどの人が「小沢峠下」でバスを降りる中、さらにひとつ先の「倶知安峠」のバス停で一人ポツンとバスを降り、細い九十九折の道を下って線路脇に出、10分ほど歩くと目印の勾配標が・・・。その日ここに来たのは私のほかに2人だけ。今にして思えば寂しい限りでしたが・・・。
 それでもこの場所も、年を追うごとに来る人は増えていきましたね。
 (↓1988年4月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9162レ

 雨の日、いかな直線といえどもC62は空転を起こしてしまうことがあります。そのたびに煙突からは激しい黒煙が立ち上り、ただでさえ暗い周囲の風景を黒い煙で覆い尽くしてしまいます。この日も、空転を繰り返しながら登ってきたC62が黒煙を撒き散らしてファインダーの中はまるで夜のようになり、露出は一気にダウン。仕方なくとっさにピントを機関車から勾配標に移して撮った窮余の策の写真です。(^^;
 (↓1992年10月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9262レ

 雨の日の煙と言うのは、普通雨に押さえられて寝てなびくものですが、C62の倶知安峠越えの煙だけはそういう形になることは少なく、むしろ高々と吹き上がることが多かったようです。激しいブラスト音とともに吹き上げられる煙は、時に30mほどの高みに上がることも珍しくありませんでした。
 (↓1993年5月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9162レ

 この「勾配標直線」をサイドから眺める場所がありました。
 国道5号線の途中から、怪しげな踏み分け道が伸びていたんですが、クマザサを掻き分けてその道を進んでいくと、ちょうどC62一両分だけがなんとか入るくらいの幅に線路が見えています。幸いなことに撮影ポイント自体は木で隠れるので人が写りこむ心配はありません。ここは一度春先に行ってみたかったんですが、結局行かず終いで終わってしまいましたね。今はどうなってるかな・・・。
 (↓1993年10月 小沢〜倶知安)

小沢〜倶知安 9262レ