仁木〜果樹園を抜けて  9162(9262)レ 仁木〜然別

 「C62ニセコ」は余市を発車すると田園地帯を快走。このあたりは北海道では珍しく水田の姿を車窓から見ることができます。運行開始当初は余市を出ると小沢まで通過だったのですが、1990年の運行から1自治体に1駅の停車という形になり、仁木停車が実現しました。
 発車シーンが撮れる駅が一つ増えたわけですが、ちょっと撮影区間としては中途半端で、まだ稲穂峠の助走路にもかかっていない場所ですから・・・。ある夏の雨模様の日、「たまには仁木の発車でも撮りに行こうよ」ということになって出かけました。平野部なら雨も山間部ほどではないだろうと思っていたら、なんと9162レが来る直前から激しい雨。背後を見ると稲穂峠のほうは明るくなってる。(-_-;)
 「なんなんじゃ!この天気は!」
 おまけに何故かこの雨の中、頭上には自衛隊のヘリがホバリングしていて、ビデオにはローター音がガンガンに入って・・・。
 撃ち落されたいか、テメー!(^^;
 この頃から客車列車の発車に際しては無線の使用が一般的になっていましたが、「C62ニセコ」の場合も車掌がホームの乗降を確認してから無線で機関車の乗務員に発車指示をします。このとき友人がそれを傍受していましたが、たまたま車掌さんがあわてたのか、あるいは単なる勘違いなのか・・・。
 『9162列車、余市発車。』
 『ハイ、9162、余市・・・仁木発車!』
 車掌さんが余市と仁木を間違えたんですよね。
 乗務員があわてて言い直してました。(^^;
 (↓1991年8月 仁木)

仁木発車 9162レ

 仁木町はフルーツの里として知られています。仁木駅の前後の線路の両側は一面の果樹園。リンゴ畑とブドウ畑が交互に現れるような場所もあります。
 9月半ば、収穫を間近に控えたリンゴの実は真っ赤に色づいて、初秋の青空と素晴らしいコントラストをなしてくれました。そこにC623が走ってくる・・・。
 撮影が終わって、作業をしている方に果樹園に入って撮影させていただいたお礼を言って帰ろうとすると、「これ持ってきなさい!」と言って、もぎたてのリンゴを5ついただいてしまいました。蜜がたっぷりのとても甘いリンゴでしたね・・・。
 (↓1991年9月 仁木〜然別)

仁木〜然別 9162レ

 その果樹園も、C62が年度運行を開始する5月の初めの頃はまだ一面の枯れた状態で寂しい限りです。このあたり、函館本線の東側はゆるい丘陵地帯になっていますが、丘の中腹にはさくらんぼ畑が広がっています。そのさくらんぼ畑の合間の小道から早春の果樹園を走り抜けるC62を俯瞰できる場所が何箇所かありました。仁木発車から月見橋手前の国道アンダークロスまで延々とロングパンで狙える場所でしたね。ビデオには最適でした。
 (↓1992年5月 仁木〜然別)

仁木〜然別 9162レ

 国道をアンダークロスすると、すぐに余市川の小さな鉄橋。ここでは夏になると、よく釣り人を見かけました。釣り人を絡めてワンショット・・・と思っていると、先方はこちらに気を遣ってかファインダーから外れて上流のほうに歩いていこうとします。(^^;
 「ここにいるとジャマですよね?」
 声をかけてきたのを幸い、
 「いえ、そのまま続けてください。全然画角に入ってませんから。大丈夫ですから!」
 ものすごい大ウソ。(^^;
 まさか「貴方を入れて撮ってるんです」とも言えず・・・。
 そんな苦労を知ってか知らずか、やってきたC62は見事にスカでした。(^^;
 (↓1992年8月 仁木〜然別)

仁木〜然別 9162レ