ウイルス
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4月18日は「発明の日」です。 現在の特許法にあたる「専売特許条例」が1885年4月18日に公布されたことに由来します。 これに因み、毎年、4月18日を含む月曜日から日曜日までの1週間は「科学技術週間」とされ、 科学技術についての理解と関心を深めるために、 全国の科学館・博物館などの施設では、科学技術に関するイベントが実施されます。 (今年の「科学技術週間」は、4月17日〜4月23日) この科学技術週間に合わせ、文部科学省は、毎年、 科学の知識を親しみやすく示したポスター「一家に一枚」を制作・配布しており、 科学館や博物館に行けば、もらうことができます。 2023年のテーマは「ウイルス」です。 (昨年のテーマは「ガラス」でした。) 【ウイルスは敵】 2020年〜2022年の3年間は、世の中が新型コロナウイルス感染症に悩まされました。 まだ完全には、その影響を拭い去れていませんが、徐々に、元の日常生活に戻ろうとしています。 この新型コロナウイルスを含め、私たちの身の回りには、色々なウイルスが存在しています。 ウイルスが厄介なのは、自分で自分の分身を複製できないため、 私たちの細胞に侵入して、こちらのDNA複製メカニズムを借り、自分も複製してもらおう! ・・・と企んでいるからです。 ウイルス感染を受けた側(私たちの体内)では免疫機構が働き、排除しようと頑張ります。 この「頑張り」が、しんどさの原因です。 (日常生活における、仕事や勉強に対する頑張りと、しんどさ(逞しさ)の関係も同じでしょうが、) (ここでは、その話には、立ち入らないでおくことにいたしましょう!) ウイルスが持っている核酸には、DNAとRNAの2種類があります。 新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの核酸はRNAです。 DNAは2本鎖で安定していますが、RNAは1本鎖で安定していません。 安定していないので、頻繁に変異が生じ、色々な亜種が誕生します。 インフルエンザの型が毎年のように異なったり、新型コロナウイルスで次々と新亜種が見られるのは、 これらがRNAウイルスだからです。 ワクチンを開発しても、ウイルスが変異してしまうと、ワクチンの効果が弱まってしまいます。 ワクチンの開発とウイルスの変異は「いたちごっこ」です。 【ウイルスは味方】 敵視されるウイルスですが、実は、医療分野で、私たちの味方になってくれている場面もあります。 その1つが「mRNAワクチン」で、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンも mRNAワクチンです。 注射により、新型コロナウイルスの mRNAの一部を体内に打ち込みます。 すると、免疫に関わる細胞たちが活性化され、感染に対する準備が整うわけです。 悪性脳腫瘍の治療薬として2021年に承認された薬にもウイルスが利用されています。 遺伝子組み換えにより、ヘルペスウイルスの遺伝情報を書き換え、がん細胞でのみ増えるようにするのです。 ウイルスが増殖した細胞は死滅するので、がん細胞を消失させることができます。 ヘルペスウイルスの核酸はDNAなので、書き換えた遺伝情報は変異しにくく、安定して使えるのでしょう。 遺伝子の組み換え方法は? どのような遺伝情報を書き換えているのか? 授業で詳しく見ていくことにしましょう! |
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