南極
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4月18日は「発明の日」です。 現在の特許法にあたる「専売特許条例」が1885年4月18日に公布されたことに由来します。 これに因み、毎年、4月18日を含む月曜日から日曜日までの1週間は「科学技術週間」とされ、 科学技術についての理解と関心を深めるために、 全国の科学館・博物館などの施設では、科学技術に関するイベントが実施されます。 (今年は、新型コロナウイルスの影響で、各地、相次いで中止になっていますが・・・。) この科学技術週間に合わせ、文部科学省は、毎年、 科学の知識を親しみやすく示したポスター「一家に一枚」を制作・配布しています。 2020年のテーマは「南極」です。 (昨年のテーマは「日本列島7億年」でした。) 【オゾンホール】 地球を取り巻く大気の領域(大気圏)は、5つの層に分かれています。 (地表に近い方から順に、対流圏・成層圏・中間圏・熱圏・外気圏) これら5つの層のうち、酸素原子3つからなるオゾン分子が大量に含まれているのは成層圏であり、 オゾン層とも呼ばれています。 オゾン層は、太陽からの紫外線を吸収し、 地上の生態系を保護すると共に、成層圏の大気を暖める効果があります。 気象庁が南極観測を始めたのは1956年のこと。 そして、1982年に、南極上空のオゾン量が著しく減少していることをつきとめました。 これが世界初の「オゾンホール」の報告です。 オゾン層に穴が空いたような状態であることから名付けられました。 オゾン量が減少すると、紫外線が吸収されず地表に降り注ぐので、生物が生き延びられません。 また、紫外線のエネルギーが成層圏に蓄積されないので、成層圏が暖まらず、 成層圏の気候に変化をもたらし、ひいては、対流圏の気候にも影響が出る可能性があります。 オゾンホールは、毎年8〜9月頃に発生し、11〜12月頃に消滅します。 1980年代から199年代にかけて拡大しましたが、 オゾン分解の原因であるフロンガスなどを規制することにより、その後、拡大傾向は見られず、 数値モデルを用いた将来予測では、21世紀半ばには1980年のレベルに戻ると予想されています。 地球環境を守るための人間の努力が実を結ぼうとしている例の1つですね。 【オーロラ】 極めて高温であるため原子の状態を保てずに電離している粒子を「プラズマ」と言い、 太陽から吹き出すプラズマのことを「太陽風」と言います。 地球の磁力線に沿って高速で移動している酸素原子や窒素原子に太陽風が当たると、 刺激された酸素原子や窒素原子が発光します。これが「オーロラ」です。 したがって、オーロラを観測することによって、太陽風の変化を捉えることができます。 太陽風の変化は、気象衛星や通信衛星などの人工衛星に、深刻な障害をもたらします。 したがって、オーロラを観測し、太陽風の変化、ひいては、太陽活動の変化を捉えることで、 今後の太陽風を予測する「宇宙天気予報」は極めて重要なことだと考えられます。 【地球温暖化】 2018年に西日本を襲った台風21号や、2019年に東日本を襲った台風19号など、 ここ2年連続、台風被害が甚大なものになっています。 台風強大化の原因の1つとも考えられている「地球温暖化」は、 今や、現代社会にとっては、最重要問題かも知れません。 地球の平均気温に変化をもたらす要因には、化石燃料の使用により排出される二酸化炭素の温室効果の他に、 もともと存在していた、地球の自転などに伴う周期的な変動もあります。 人間活動に伴う人為的温暖化の効果がどれくらいのものなのか評価するには、 それらの周期的な変動分を差し引いておかねばなりません。 周期的な変動分を見積もるには、過去の気候変動についての長期的な記録が必要であり、 その記録が南極の氷床に残っています。 海水が温められ蒸発すると、風で運ばれた水蒸気が雨となって陸地に降ります。 これが南極では、雨でなく、雪となります。 酸素原子には、質量数が16のもの(酸素16)と、18のもの(酸素18)が存在します。 酸素16は軽いので蒸発しやすく、酸素18は重いので蒸発しにくいです。 降雪回数が増えると、酸素16の蒸発チャンスが増えるので、相対的に酸素18の割合は低くなります。 逆に、降雪回数が減ると、酸素16の蒸発チャンスが増えないので、相対的に、酸素18の割合は高くなります。 氷床を掘り出して各年代の酸素18の割合を調べると、各時期の降雪量が多かったか少なかったかが分かります。 降雪量の多少は、その時期の気温の高低と関係しているので、 降雪量の多少が分かれば、その時期の気温が高かったのか低かったのかが分かります。 このようにして、過去の平均気温について、周期的な変動分を見積もることができます。 |
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