ビッグバン理論

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宇宙が今なお膨張し続けているということは、

時間を巻き戻していったとき、どんどん宇宙が小さくなっていき、

やがて、エネルギー密度が際限なく大きくなった、1つの点になってしまいます。

宇宙が、非常に高温高密度の状態から始まり、それが大きく膨張することによって低温低密度になり、

現在の姿に至るという考え方を「ビッグバン理論」と言います。

以下では、ビッグバン理論に基づく宇宙の歴史を見ていきましょう!



【宇宙時間:約10-6秒(核子の形成)】


物質を構成する最小の粒子は「素粒子」であり、素粒子には、以下の6種類の「クォーク」が含まれます。

電荷:+2/3 u(アップクォーク) c(チャームクォーク) t(トップクォーク)
電荷:−1/3 d(ダウンクォーク) s(ストレンジクォーク) b(ボトムクォーク)

ビッグバン開始後、まずは、これらのクォークが結合し「ハドロン」が生成されます。

ハドロンとは、クォーク3つが結合して生成される「バリオン」と、

クォーク2つが結合して生成される「メソン(中間子)」の総称です。



多数存在するバリオンの中でも有名なものは「陽子」と「中性子」でしょう。

両者とも、原子核を構成する粒子です。

陽子(uud)は、2個のアップクォークと1個のダウンクォークからなり、

電荷は(+2/3)+(+2/3)+(−1/3)=(+1)となります。

中性子(udd)は、1個のアップクォークと2個のダウンクォークからなり、

電荷は(+2/3)+(−1/3)+(−1/3)=(±0)となります。



メソン(中間子)は、日本の物理学者・湯川秀樹(1907−1981)によって、その存在が予言されました。

ちなみに、湯川秀樹は、日本人初のノーベル賞受賞者(ノーベル物理学賞)です。

私が在学時、京都大学北部キャンパス内の湯川秀樹像は毎日のように見ていました。

(所属する農学部が理学部と同じキャンパス内にあり、通学時、像の前を通っていました。)



【宇宙時間:約3分(元素の合成)】


陽子は、そのままでも存在できます。

実際、水素原子から電子がとれた水素イオンは、陽子そのものです。

一方、中性子は、そのままでは不安定で、10分ほどで崩壊します。

しかし、陽子と一緒に「原子核」をつくると安定します。

このようにして元素が誕生していきます。



陽子1個と中性子1個からなる元素は「重水素」、陽子1個と中性子2個からなる元素は「三重水素」です。

三重水素は「トリチウム」と呼ばれることの方が多いですね。

重水素やトリチウムは、核融合反応を利用したエネルギー開発に向けて、盛んに研究されています。

核融合反応は、核分裂反応を利用した発電である「原子力発電」に代わるエネルギーとして期待されています。



【宇宙時間:約38万年(宇宙の晴れ上がり)】


非常に高温高密度な状態から始まったビッグバンですが、約38万年経つと宇宙の温度が低下し、

イオン化していた水素原子核などが「電子」を取り込み、中性化します。

すると、今まで電子という障害物があり、なかなか直進できなかった「光子」が、

障害物である電子がなくなったことで直進できるようになり、一気に明るくなります。

これを「宇宙の晴れ上がり」と言います。



【宇宙時間:数億年以後(天体や大規模構造の形成)】


宇宙にある構造は、「星」「銀河」「銀河群」「銀河団」「超銀河団」のように階層構造を成しており、

このような宇宙の構造は、小さいものから順番に形成され、小さな構造が合体して大きな構造になります。

宇宙で最初にできた星は、ビッグバン元素合成で作られた軽元素(水素とヘリウム)だけが材料です。

その後、星の進化とともに重元素(軽元素以外の元素)が生成され、それらを材料にした星ができます。



続きは、次回をお楽しみに♪


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