土砂崩れを防ぐことは可能?

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2017年7月5日から6日にかけて、九州北部で大雨になり、

この大雨に対して、気象庁は「平成29年7月九州北部豪雨」と名付けました。

今回の豪雨の特徴は、洪水の犠牲者が多いにも関わらず、多くが屋内で被災していることで、

家屋ごと流されたということでしょう。



屋外にいた人ならまだしも、家屋ごと流されるほどの破壊力。

増水して氾濫した河川の水流に加えて、流木によるダメージも大きいかったことでしょう。

流木は、上流域の土砂崩れによりなぎ倒された木々が川を流れ下ることによって生じます。

土砂崩れを防ぐことができれば、流木による被害も軽減できるはずです。



以前、【自然災害について考える(#2)】日本の地形と土砂災害において、

「土砂崩れを防ぐのは難しいかも知れません。」と書きました(2014年9月10日)。

果たして、本当に防ぐことは難しいのか?・・・あれから少し考えてみました。

まだ結論というか、解決法までには至っていませんが、

もしかすると防ぎようがあるのではないか、と思っています。



「土砂崩れの原因は、林業だ!」という思慮の少ない声をよく耳にします。

木の種類には大きく2つ(広葉樹と針葉樹)あります。

「広葉樹は、幹がまっすぐ伸びにくく、また、枝分かれが多い。」

「針葉樹は、幹がまっすぐ伸びやすく、かつ、枝分かれが少ない。」

との理由から、植林の際、針葉樹が優先されてきました。

成長速度が速い、などの理由も相まって、特にスギやヒノキが多く植えられました。

これらの樹種は根を深く張らないので、山の土砂をしっかりつなぎとめておくことができません。

それで土砂崩れが起こりやすくなったのだ!・・・というわけです。



確かに、植林する樹種をスギやヒノキにしなければ、土砂崩れを防げたのかも知れませんが、

当時の知識では、そこまで考えていなかったのでしょう。

あるいは、そこまでの知識があったとしても、

成長速度が速ければ生産性が上がり、産業としても潤いますから、

優先順位として、まずは、儲け主義に走ったのかも知れません。



過去の功罪について、あれこれ掘り起こしても仕方ありません。

現状を打開する方法を考えていかないと!

広葉樹よりも針葉樹を優先したいなら、それはそれで良いでしょう。

針葉樹にも、根を深く張るもの、根を深く張らないものがありますから、

それらのバランスを考えて植林していけばよいでしょう。

戦後の高度成長期に比べると、国内樹の需要は減っているような気がします。

成長の速い木を大量に生産して薄利多売を考えるよりも、

1本の木の価値を見直し、付加価値を高めた上で、少ない本数でも林業が成り立つようにできれば、

良いのではないでしょうか。



“木のぬくもり”“木製品のやわらかさ”“心のやすらぎ”など、

目に見えないソフト面が、昔に比べて重要視されてきている今だからこそ、

国土の3分の2を占める森林のあり方を、もう一度考え直す時期・流れが来ているのではないでしょうか。


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