星までの距離(HR図)A
|
||||||||||||||||||||||||
【スペクトル型】 年周視差を観測できない遠い星の距離はHR図を利用しよう!・・・ということで、 【連載 宇宙論(#07)】では、縦軸である「絶対等級」について見ました。 では、次に、横軸である「スペクトル型」について見ていきましょう! そもそも「スペクトル」とは、複雑な情報や信号を、その成分ごとに分解し、配列したものです。 熱放射による光は、あらゆる波長の光を含んでおり、プリズムで分光すると連続的な虹色の模様になります。 このようなスペクトルを「連続スペクトル」と言います。 連続スペクトルを放つ光源と観測者の間に原子が存在すると、 その原子がある特定の波長の光を吸収して励起されるため、その波長の光だけ弱くなったスペクトルになります。 このようなスペクトルを「吸収線スペクトル」と言います。 恒星の中心部は連続スペクトルを放つ光源ですが、恒星の大気組成により吸収線スペクトルは異なります。 最初、スペクトルパターン(スペクトル型)の単純なものから順に A、B、C、・・・とアルファベットが振られました。 その後、温度と吸収線スペクトルの間に関係があることが分かり、 星の表面温度の高低順にスペクトル型を並べ替えました。
アルファベットの並びが不規則になっているのは、このためです。 【再び、HR図】 さて、絶対等級とスペクトル型について分かったところで、もう一度「HR図」に戻ります。 近い恒星(年周視差の観測により距離を求めることができる恒星)について、 その絶対等級とスペクトル型を求めることにより、その恒星をHR図にプロットできます。 このようにして、近い恒星群についてのHR図が1910年に完成しました。 遠い恒星についても、HR図は同じような傾向になるであろうと考えられます。 そこで、遠い恒星の色を観測し、スペクトル型を決めます。 HR図により、このスペクトル型に相当する絶対等級を読み取ります。 ![]() 【連載 宇宙論(#07)】に出てきた、この式は、 見かけの等級と距離から絶対等級を求める式でしたが、 変形すれば、見かけの等級と絶対等級から距離を求める式になります。 ![]() このようにして、遠い恒星の距離を求めるのです(単位:10パーセク)。 |
||||||||||||||||||||||||
|