食味試験の不思議

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生まれが蕎麦屋なので、どうしても、このネタが入ってきちゃうんですよね〜(笑)。



【食品の二次機能:嗜好】

蕎麦も食品のひとつです。“腹が減っては戦ができぬ!”と言われるように、

従属栄養生物であるヒトは、生命活動を維持するために食べなければなりません。

このように、ヒトが食品に対して最初に求める、栄養についての機能を「食品の一次機能」と言います。

“同じ食べるなら、よりおいしいものを食べたい!”と、誰もが思います。このように、

一次機能が満たされた次の要求としてヒトが望む、嗜好についての機能を「食品の二次機能」と言います。



【“おいしさ”を評価する食味試験】

同じものを食べても、健康であるか病気であるかなどの生理状態や、楽しいか悲しいかなどの心理状態により、

“おいしさ”の評価は変わります。しかし、誰もが、明るく健康で楽しい毎日を送ることを望んでおり、

生理状態や心理状態に差(問題)がない万全な状態で“おいしい”と感じる評価には、

それぞれの食品に対して一定の方向性があります。そのような個々の食品がもつ特性を科学的に調べ、

よりおいしい食品をつくることに役立てようという目的でなされるのが「食味試験」です。

食味試験では、食品のおいしさを評価するのですから、まず、“食べてなんぼ!”です。

実際に食することで、複数のサンプル間に嗜好の差があるか否かを判断します。



【食味試験と確率論】

食味試験において、2種類のサンプルAおよびBの間に嗜好度の差があるかないかを調べる方法のひとつに

「2点識別法」があります。「2点識別法」の基礎になっている数学の知識は「二項検定」です。

もし、サンプルAとBの両者に差がなければ、どちらを選ぶかは五分五分です。

パネラー(試験官)の半数がAを選び、残りの半数がBを選ぶことが期待(予想)されるでしょう。

もしAを選んだパネラーの方が多ければ、Aの方が好まれるサンプルであることになります。

問題なのは、どれくらいの偏りがあったときに、AとBの嗜好度に差があると判断するのか、です。



【えっ、そうなの?】

「AとBのどちらが好きですか?」というアンケートを20人にした結果、

20人中14人が「Aの方が好き。」と答えたとしましょう。

この結果から「Aの方が好まれている。」と判断するのは、時期尚早です。

・・・えっ、7割の人が選んでいるのに、それでもまだ、Aが好まれているとは言えないの?

・・・はい。20人に対するアンケートなら、残念ながら、7割くらいではダメです。

さて、このカラクリは、いったいどうなっているのでしょうか?・・・次回へ続く。


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