ヨーロッパ
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【地質学の起こり】 産業革命(動力の革命)が起こると、燃料として、石炭の需要が増えました。 最初は、ごく浅い表層を掘っていた(削っていた)ことでしょう。 イギリスは、豊富な石炭資源を有し、一部は、地表に露出していました。 やがて、どんどん深く掘り進めていくうちに「地層」に気付いたのです。 「この層状の模様は、一体、何なんだ?」 【古生物学の起こり】 産業革命に伴う石炭の採掘・運搬をきっかけに生まれた地質学。 絶対王政時代から帝国時代にかけての鉱山開発など、18世紀後半〜20世紀前半における地質学の対象は、 地球の表層を覆っている岩石(岩石学)や地層(層序学)、そして、そこから見つかる化石(古生物学)でした。 【「恐竜」の誕生】 イギリスの地質学者・古生物学者ウィリアム・バックランド(1784−1856)は、 1815年に、ある化石を入手していましたが、 この化石が、どのような動物に属するか判断出来ていませんでした。 1818年にオックスフォードを訪れた、フランスの博物学者ジョルジュ・キュビエ(1769−1832)は、 この化石が大型爬虫類のものであることを指摘しました。 そこで、バックランドは、この指摘に基づいて1824年に論文を発表し、 「メガロサウルス(巨大なトカゲ)」と命名しました。 一方、イギリスの医師ギデオン・マンテル(1790−1852)は、 1822年のロンドン地質協会にて、ある“植物食性と思われる動物の歯の化石”について発表しました。 当初、同協会に所属していたバックランドや、既に、比較解剖学の大家として知られていたキュビエから、 サイの歯か、魚のものであるという評価を得ましたが、後年、彼らも、これが大型爬虫類のものであると認め、 1825年、マンテルは、この歯を基に「イグアノドン(イグアナの歯)」を記載しました。 1824年にバックランドが報告した「メガロサウルス」と、 1825年にマンテルが報告した「イグアノドン」は、 当初、バックランドが考えていたように、「大型のトカゲ目」動物だと見なされていました。 しかし、その後、ヒラエオサウルス(1832年)、テコドントサウルス(1836年)、 プラテオサウルス(1837年)、・・・と、多くの同類が発見されていくうちに、 比較解剖学の深い知識により、“イギリスのキュビエ”と呼ばれていた イギリスの古生物学者リチャード・オーウェン(1804−1892)は、 大型爬虫類に興味を持ち、徹底的に調べました。 その結果、これらの動物が共通の特徴を持ち、既存のどのグループにも属さないことから、新しい亜目を考え、 1842年に「恐竜亜目」と命名しました。 【ゾルンホーフェン】 ドイツにある、ジュラ紀後期の地層で、保存状態の良い翼竜の化石が見つかる場所として有名です。 当時、この辺りは、海が広がっていたのではないかと考えられています。・・・なぜ? 翼竜の骨は非常に薄く、化石として残りにくいのが通常ですが、 塩分濃度の高い海水があると、生き物の死骸が腐らずに残りやすくなるからです。 さらに、ヨーロッパ各地の、中世代前半の地層から、海で生息していた生き物たちの化石が多数見つかっており、 古生代終わりにパンゲア大陸ができたとき、 ヨーロッパ地域は、小さな島々が散在している状態だったのではないかと考えられています。 【ヨーロッパで見つかった恐竜】 以下に、ヨーロッパで発見された恐竜を、時代別にまとめます。 これらから、どのようなことが言えるでしょうか? それぞれの恐竜の特徴なども調べていくと、見えてくるかも知れません。・・・一緒に考えてみましょう! (カッコ内の丸印は、ジュラシック・パーク・シリーズに登場した作品番号) (三畳紀後期) ・リリエンステルヌス(獣脚類 / 5m / ドイツ) ・プラテオサウルス(竜脚形類 / 8m / ドイツ・フランス・スイス・グリーンランド) ・テコドントサウルス(竜脚形類 / 2m / イギリス) ・プレオンダクティルス(翼竜 / 45cm / イタリア) (ジュラ紀前期) ・スケリドサウルス(装盾類 / 4m / イギリス) ・エマウサウルス(装盾類 / 2m / ドイツ) ・ディモルフォドン(翼竜 / 1.5m イギリス)(C、E) ・カンピログナトイデス(翼竜 / 1.7m / ドイツ) (ジュラ紀中期) ・メガロサウルス(獣脚類 / 9m / イギリス) ・ユーストレプトスポンディルス(獣脚類 / 7m / イギリス) ・プロケラトサウルス(獣脚類 / 3m / イギリス) ・ケティオサウルス(竜脚形類 / 14m / イギリス) ・レクソビサウルス(装盾類 / 5m / イギリス・フランス) (ジュラ紀後期) ・ケラトサウルス(獣脚類 / 6m / ポルトガル)(B) ・アロサウルス(獣脚類 / 12m / ポルトガル)(D、E) ・コンプソグナトゥス(獣脚類 / 1.3m / フランス・ドイツ)(A、B、D、E) ・ジュラベナトル(獣脚類 / 80cm / ドイツ) ・アーケオプテリクス(始祖鳥 / 50cm / ドイツ) ・トゥリアサウルス(竜脚形類 / 30m / スペイン・ポルトガル) ・ヨーロッパサウルス(竜脚形類 / 6m / ドイツ) ・ステゴサウルス(装盾類 / 9m / ポルトガル)(A、B、C、D) ・ミラガイア(装盾類 / 6m / ポルトガル) ・ダケントルルス(装盾類 / 8m / イギリス・フランス・ポルトガル) ・アヌログナトゥス(翼竜 / 50cm / ドイツ) ・ランフォリンクス(翼竜 / 1.5m / ドイツ) ・プテロダクティルス(翼竜 / 1.5m / ドイツ・イギリス・フランス) (白亜紀前期) ・バリオニクス(獣脚類 / 10m / イギリス・スペイン)(B、D、E) ・コンカベナトル(獣脚類 / 6m / スペイン) ・ネオベナトル(獣脚類 / 7.5m / イギリス) ・スキピオニクス(獣脚類 / 30cm / イタリア) ・ベレカニミムス(獣脚類 / 1.8m / スペイン) ・イベロメソルニス(獣脚類 / 20cm / スペイン) ・ヒラエオサウルス(装盾類 / 5m / イギリス) ・ヒプシロフォドン(鳥脚類 / 1.8m / イギリス) ・イグアノドン(鳥脚類 / 10m / ベルギー・イギリス・フランス・ドイツ・スペイン・ポルトガル) ・マンテリサウルス(鳥脚類 / 7m / イギリス) (白亜紀中期) 記載なし (白亜紀後期) ・マジャーロサウルス(竜脚形類 / 5.3m ルーマニア) ・ラグドドン(鳥脚類 / 2m / スペイン・フランス・ルーマニア) ・テルマトサウルス(鳥脚類 / 5m / ルーマニア) ・オイカケラトプス(周飾頭類 / 1m / ハンガリー) 「恐竜の研究」に戻る |
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