分子系統樹

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【系統樹】

近縁な種ほど、より多くの形質(特徴)を共有するはずです。

生物ごとに形質を調べ、類似する種どうしを順に結合させていくと、

樹木のように幹が分かれ、それぞれの幹から多くの枝を出したようになります。

これを「系統樹」と言います。



【形態形質】


現存生物は、何千年にも亘って観察され、その形態が記述され、理解されてきました。

したがって、形態は、多くの分類群に対して、現在でも、最も幅広いデータを与えてくれます。



ただ、このように、とても有用ではあるものの、限界もあります。

形態変異の中には、相似器官のように、

必ずしも遺伝的なものばかりではなく、環境によるものも含まれているからです。

これらは解析から除外するべきですが、どの形態を除外すべきなのか、主観が入り、難しい判断です。

より正確な系統解析には、形態情報以上に客観的なものが必要となってきます。



【分子データ】


すべての遺伝する変異は、DNAに暗号化されており、

生物の全ゲノムは、系統解析に用いることができる膨大な形質のセットを有しています。

近年、DNAの塩基配列が、系統樹作成に最も広く利用される情報となっています。



肉眼では見えない小さな微生物から、大海原を悠然と泳ぐシロナガスクジラまで、地球上のすべての生物は、

アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)という、

たった4種類の核酸塩基を組み合わせた二重らせんのDNAをもち、

遺伝子を複製し、転写し、翻訳し、個々の遺伝子に対応するタンパク質を作りだす能力をもっています。



生物の多様性は、遺伝子の突然変異によって生まれ、それによって、生物は進化してきました。

そのため、現存する多数の生物の遺伝子を比較することによって、生物進化の道筋をたどることができます。



【分子系統樹の活用例】


現在、人間に影響を及ぼす感染症の種類は、約150あります。

感染症に立ち向かうとき、

ヒトの集団に、その病気が侵入した時点・場所・様式を理解することが重要であり、

病原体の伝播を研究するのに系統解析は欠かせません。



後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因であるヒト免疫不全ウイルス(HIV)には、

チンパンジーから伝播したHIV−1と、

オナガザルやニホンザルの仲間であるスーティーマンガベイから伝播したHIV−2の、2系統が存在します。



チンパンジーは中央アフリカにおいて、スーティーマンガベイは西アフリカにおいて、

いずれも、食料として、狩猟の対象となっています。

狩猟者が、獲物の皮を剥いでいる時に、誤って自分自身を傷つけてしまい、人体に侵入した可能性もあります。



AIDSの世界的流行は、アフリカの地域集団における感染が、世界中のヒト集団に広まったことによります。

これらのウイルスが、最初、どのようにしてヒト集団に侵入していったのか理解することにより、

他の感染病がヒト集団に広がるのを防ぐためには何をしたら良いか、分かることでしょう。



【分子系統樹の作成法】


系統樹作成法には、平均距離法(UPGMA)や近隣結合法(NJ法)など、

用途に応じて、様々なものがあります。

また、データとして用いる遺伝距離の求め方も、

どのようなデータを扱うかによって、使い分ける必要があります。・・・一緒に学んでいきましょう!



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