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マッキンレイ山遊覧飛行


 【7月16日】

4日目。午前中は、タルキートナの町の横を流れる川でリバーボート・クルージング。午後には、マッキンレイ山を空から見る遊覧飛行を予定しています。

地名や川の名前の語尾によく「ナ (na) 」という字が付いていますが、これは原住民タナイナ族(アサバスカ・インディアン)の「川」という語です。タルキートナという町の名 の由来は「川の合流地」を意味し、その名前のとおりタルキートナ川(「鮭の獲れる豊かな川」の意)、チュリトナ川(「木の生えている川」の意)、スシトナ川(意味は失念!)の三つの大きな川がこの町で合流しています。

リバーボート・クルージングは、3〜40人乗りの乗合いボートで三つの川を上り下りしながら、ビーバー、白頭ワシ(アメリカの国鳥)、ブラックベアなどの野生動物を観察しようというツアーです。


 

   (写真はクリックで拡大します)  
白頭ワシを発見!。大きな古木の最上部、枯木を集めて作ったような巣から遠くを眺め回している様子です。うす曇りの空でしたが、逆光写真のようになってしまいました。ボートを停めて暫し観察することにしました。
間もなくして、白頭ワシは川の中州に舞い降りてき、朽ちて倒れている木にとまり、辺りの様子を窺がうかのようにしています。こんなに真近かで野生の白頭ワシに会えるとは、もう感激です!
白頭ワシは、急に近くにあった一本の枯れ枝を掴むと、大きな羽を広げ、力強く羽ばたかせると、樹上の巣のほうに飛び立ってゆきました。きっと巣作りのための枯れ枝を探していたのだと思います。


ビーバーの姿を見ることはできませんでした。しかし、川沿いの樹木には根元に近い部分が齧じられているのが何本かあり、この辺りにビーバーが生息している証です。

ビーバーは、太さが20センチくらいの樹木なら、15分ほどで齧り倒してしまうそうです。白頭ワシが巣を作っていた古木も根元部分が丁度この写真のように齧られており、いずれは倒されてしまうのかもしれません。


川の水量は豊かですが、氷河が侵食した砂礫を含んでいて白く濁っています。岸辺に連なる原生林を何気なく眺めていたら・・・
突然、岸辺にブラックベアがあらわれました。望遠のピントを慌てて合わせようとしている間に、さっさと原生林に戻ってしまいました。
ブラックベアが出た岸に上がり、林の中を散策しました。万一の熊との遭遇に備え、ガイドの女性は弾をこめた銃を携行しています。




午後は、マッキンレイ山遊覧飛行です。

タルキートナの町はマッキンレイの頂上まで直線距離で約100kmと近く、マッキンレイ登山の玄関口の町です。

毎年多くの登山家がここから飛行機でマッキンレイ山の麓のベースキャンプまで運んでもらい、そこから頂上を目指します。そのため、この町には、急変する山の天候をにらみながら山の中腹の狭い場所に離着陸できる腕利きのパイロット(ヤブや茂みなど未整地のところに離着陸できるので、「ブッシュ・パイロット」と尊称されています)が多くおり、世界的に著名な冒険家の植村直己氏もこのタルキートナから最後の冒険になったマッキンレイ山単独登頂へと出発しています。


遊覧飛行前に「北緯62度」というロッジの食堂で昼食。ここは植村直己氏が最後に宿泊したことで有名です。
「北緯62度」ロッジ。ここがあの植村氏の!と知らなければ、見過ごしてしまうような質素な外観。左端の窓が植村氏の泊まった部屋。



この写真は、マッキンレイ山遊覧飛行の会社に置いてあったパンフレットから転写したものですが、基本的な飛行ルートは、1時間コース、2時間コース(マッキンレイをぐるーっと周回)、氷河に着陸するコースの3パターンのようで、それも天候次第で最終的なルートは決まるようです。


今日はマッキンレイ山頂は雲に覆われているとのことで、我々の飛行ルートは写真中央のハンター山(4442m)近くまで行く、1時間のコースとなりました。


 


(以下の写真はクリックで拡大します)
我々が乗ったデ・ハビランド機。乗客定員は8名。
離陸してすぐ、ハイウェイの両側は見渡す限りの原生林です。
ルス氷河 (Ruth Glacier) が見えてきました。まさしく氷の河です。
その氷の河をたどると、狭隘な岩山の間をぬって流れてきています。
写真中央の岩山がルス氷河の先端(始点)の一つのようです。
飛行機が急旋回すると、一面氷の大平原が見えてきました。

氷の平原に、コバルトブルーに染まった、大小さまざまな池のようなものがあります。
高度がさらに上がり、急峻な雪山が眼前に近づいてきます。
実際はかなり離れているのでしょうが、翼の先端が山に触れるのではと思うほどです。
危ないよ〜!、オーイ、ぶつかりそうだよ!

帰路、大平原を蛇行して流れる川の姿が印象的でした。
高度が下がり、午前中にボートクルージングした川も眼下です。


雪に覆われたアラスカの山々と氷河群。僅か1時間の短いフライトでしたが、上空から眺めたその大自然の景観はまさに「素晴らしい!、感動!」の一言に尽きます。絶対にお薦めのイベントです。 


 3日目(アラスカ鉄道) 5日目(26氷河クルーズ)