済州島 基地建設と闘う住民たち(1)
●2011年9月2日

 9月2日から5日までの4日間、韓国の済州島(チェジュド)を訪問しました。済州島の南にある西帰浦(ソギポ)市・江汀(カンジョン)村では、韓国海軍の基地を建設しようとする政府に対して、反対する村民と支援者が激しい抵抗運動を続けています。
 9月3日には、反対派の村民を支援する民衆団体・労働組合・市民団体・宗教者団体など約200人が済州島を訪れ、様ざまな行動を行いました。
 こうした動きに対して韓国政府は、済州島の警察組織だけでは反対運動を抑え込むことができないと判断して、本土の戦闘警察約1000人を済州島に派遣し、カンジョン村を包囲しています。
 以下は9月2日・3日・4日の出来事のレポートです。事態の緊急性に鑑み、とりあえず写真を掲載しますが、カンジョン村の状況を説明するのには長文の解説が必要です。数日間、更新作業を続けますので、ご覧ください。(9月7日)

●座り込み場所への警察の侵入を前に、鎖で体を縛り付ける女性。



●私がカンジョン村に到着したのは、9月2日午後2時です。ここは反対派島民と支援者が座り込みを続けている場所です。カンジョン村の中心から、基地建設予定地の海岸へ行く道は幾つかありますが、警察はそれらを封鎖しました。島民たちは最後の道を、座り込みによって確保していたのです。
 しかし9月2日の早朝5時に戦闘警察がこの場所を急襲して、道路を鉄板のフェンスで封鎖してしまいました。この時、フェンス建設を阻止しようとした島民と支援者ら36人が逮捕されたそうです。
 私が到着した時点では、フェンス封鎖と大量逮捕に抗議する集会が行われていました。


●中心の女性は、民主労働党の済州島地区の委員長です。反対派とフェンスの間には、警察官が座り込んでいます。


●早朝5時の急報に駆け付けた島民と支援者の皆さん。この時点で、200人くらいがいました。


●鉄塔の上に籠城しているのは、「カンジョン村米軍基地反対対策委員会」のコ・グォニル委員長です。鉄塔の下では、彼が降りてきたら逮捕しようと、警察官が待機しています。


●首に鎖を巻きつけ、その鎖を鉄塔に結び、徹底抗戦の意思を示しています。


●これが2日早朝に設置された鉄板のフェンス。後方では、重機が工事を進めています。


●この辺りの海岸線は、「クロムビ岩」と呼ばれている独特な美しさを持ったものだそうです。昨日までは、この先に進んで、その海岸を見ることができました。



●座り込みをしている場所の、ほんの数メートル先を、警察官が封鎖しています。手前のトラックは、警察官の侵入を防ぐために島民が置いたものです。


●座り込み所への道を封鎖する警察。




カンジョン村



●村の家々には、海軍基地反対を示す黄色い旗が掲げられています。



●そうした中で、韓国の国旗を掲げているスーパーがありました。このお店は基地建設賛成派で、それを示すために国旗をあげているそうです。



●国旗を掲げたスーパーと道を挟んで反対側に、黄色い旗を掲げたスーパーがあります。住民でも基地賛成派は国旗のスーパーで買い物をし、反対派はこちらのスーパーで買い物をするそうです。



●平和運動を支援する芸術家集団が、家々の塀に絵を描いていました。







排除強行か?



●午後6時過ぎに、警察が動き出しました。住民が設置したトラック・バリケードの前まで、100人を超える警察官が迫ってきます。



●あちこちで、住民が警察に抗議しています。



●女性たちが体に鎖を結び付けました。






●警察の責任者から、「コ・グォニル委員長が籠城をやめて下に降りてきても、安全を保証する」という趣旨のアナウンスがありました。しかし住民は「ウソに決まっている」として、警察の説明には応じませんでした。この後、警察は少数の部隊を残して、撤収しました。



●警察が撤収したのを確認して、コ・グォニル委員長が鉄塔から降りてきました。記者から次々と質問が発せられています。



●鉄塔の下で座り込みを続け、彼を守っていた女性たちと、一息ついたところです。彼は本の少しの休息を取っただけで、再び鉄塔に上がりました。



●この日の夜、座り込み会場では、平和コンサートが行われました。明日開催される集会に参加するために、韓国の各地から活動家がやってきます。また村の子どもたちは、音楽に合わせて踊ったり遊んだりしていました。

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