75S-1、3B、3C

Top > コリンズのメンテナンス > 75S-1、3B、3C  
 

【凡例】 

 
改善 機能の改善
予防 予防保守
修理 不具合箇所の修理
修理 未解決の修理

番号 種別 内容 対応
75S3B
レストアメニューの実施 全項目を実施
修理 CWの受信音にハム音が混じる フィルターカバーが遺失していたので、銅版で作成し取りつけた。これは、思いのほか効果が大きく、ハム音が解消した。

==>オリジナルのフィルターカバーが見つかったので、交換済み。

修理 MUTEが不完全 MUTEのRCAジャック回りを清掃
修理 キャリブレータにゼロインするとヘアラインが10度ほど傾いた場所となる 文字盤のスプラインナットを緩め、文字盤を回転させヘアラインが垂直の位置でゼロインする様に調整
改善 PTOの発信管をローノイズの物に交換 V301を6AU6から7543に交換
予防 真空管の全取替え 市販の真空管セットを購入し、全取り替えした。後日、時間の経過と伴に感度が低下する現象が発生し、原因を発見するのに時間がかかったが、結局交換した真空管に問題があった事が判明し、元の真空管に戻し、解消した。
修理 時間が経過すると伴に感度が低下 V6、V7を購入した真空管に交換した事が原因。これを元の真空管に戻し解消
  • 購入した真空管: XX社製(NY)
  • 戻した真空管: RCA製
改善 SSBでAGCの定数が早い SSBでのAGCのリリース時間を長くする為、AGCの定数を変更する。R88に並列に220KΩの抵抗を接続する。なお、コンデンサーの値を大きくし、リリース時間を長くすると、AGCのアタックタイムも変わってしまうので、抵抗での調整の方が良い。
改善 SSBで受信音が歪っぽい 次の複数の対策を実施
  • IFアンプ(V7:6AB6)、AFアンプ(V9:6AT6)交換。
  • C56(100μF)を交換(C56が容量抜けをしていると歪分が出る)
  • L16を820Ωの抵抗に交換(この対策が一番効果があった)

8番のAGCの定数変更と併せ、未対策の75Sを聞き比べると、各段の違いがある

10 改善 メインダイヤルが重い PTOのシャフトの回転が重い事が判明、PTO分解掃除を実施。
  • PTOを分解し、内部の摺動部に付着し固結しているグリスを落とし、新しいグリスを塗る
  • 分解の手順は、上銘氏著「コリンズのメンテナンス」の「2.ダイヤルメカニズムのメンテナンス」参照
  • または、WB4HFNのサイトにN4BE Jim Millerの詳細な解説が掲載されているので、参照すると良い
11 修理 Sメータの0設定が不安定 IFの真空管を交換、0設定のボリウムを交換したが、改善せず。対処療法だが、IFアンプ(V7:6BA6)の7番ピン(カソード)とグランド間にダイオードを接続すると、0設定は全く動かなくなる。
12 修理 AFゲインを絞りきっても音漏れがする AFゲインを絞った状態で、歪んだような音が出る場合は、AFアンプ(V10:6BF5)を交換すると良い
13 改善 PTOの初期ドリフト(1時間)が2KHz程ある FANを装備(取り外し済み)しても若干の改善にとどまった為、WB4HFNのサイトに掲載されているN4BE Jim Millerの詳細な解説を参照し、PTO内部のバイパスコンデンサ、カップリングコンデンサを交換してみた。
  • PTOを開放、C303、C306、C307、C309、C310を交換
  • C303以外:0.022μF ディップド・マイカ (Mouser P/N 146-630V.022K
  • C303   :3000pF ディップド・マイカ (5%必須) (Mouser P/N 5982-19-500V3000
  • これら以外の温度補償コンデンサ等は交換しないこと

これらは年月の経過とともに劣化し、定数が温度と伴に変化する様になる。バイパスコンデンサとはいえ高周波の負荷を変化させる要因となり、ドリフトの原因となると同氏は説明している。

結果は、電源投入10分経過後から計測した、1時間の初期ドリフトが173Hzとなり、満足行く結果となった。

14 修理 USBでBFOが時々発信停止となる S9のリークが原因。購入当初のレストアで、MODEスイッチの接触不良を改善する為に、接点スプレーを吹きかけた事が原因と推定。この事により、長年の間に埃と接点スプレーの残液と混ざり固まり、これがリークの原因となったか? S9を外し分解し、ロータリースイッチのウエハーをクレンザーで洗い流し、汚れを完全に除去した。
15 予防 リキャップ 次の電解コンデンサ、カップリングコンデンサを交換
  • C29、C46、C54、C60、C82、C107、C130

効果

  • Sメータの0設定の不安定の解消 (11番で実施したダイオードは取り外した)
  • AFゲインを絞りきた時に、ハム音が出ていたが、解消

 

75S1
レストアメニューの実施 全項目を実施
改善 トーンコントロール改造の撤去 前面パネルのメータの下にトーンコントロールのボリウムが付いていた。文字パネルを外し、ボリウムを外したが、前面パネルに穴が空いているので、次の手順で修復。
  • パネルの背面からアルミ板で穴を塞ぐ
  • エポキシで穴を埋める。この時、パネル面のでこぼこ感が出るようにする
  • エポキシが固まった後、タッチアップを厚めにを行い、乾燥後、オリジナルペイントとの境をコンパウンドで軽く磨く

月日が経過しており、オリジナルペイントの色合いとタッチアップペイントの色合いがなかなか合わず苦労した。また、オリジナルペイントとの境をコンパウンドで磨けば境目を目立たなくなるが、パネル面にでこぼこが有るので、上手く磨けなかった。結局、満足行く結果は得られていない。 パネル面の修復は難しい!

修理 Sメータのガラスが動く メータを開放、ガラスを固定。手順は次の通り。
  • メータを本体から取り外す。
  • メータについている小さなネジ(3箇所)を外しメータを開放する。ネジにペイントロックが施され外れにくい場合は、除光液でペイントロックを剥がしながら外すと良い。
  • 細心の注意を払いながら、内部から可動部を取りだす。
  • メータのガラスを内部から支持している金属性リングとガラスとの間に隙間があるので動く。このため、リングをガラスに押し付け、リングが動かないように固定する。(リングをガラスに押し付ける時には絶対に力を掛け過ぎないように! 私はガラスを割った事がある
  • これらが終わったら可動部を元に戻すが、この時にメータのゼロ調整ネジを可動部の調整レバーに合わしながら戻す。

 

75S3C
レストアメニューの実施 全項目を実施
修理 メインダイヤルにガタがある PTOのケーシングを前面から背面まで貫く、長い止めネジが破損していた。これは、5cm長のインチネジで、特殊な形をしていて、日本では調達出来るがが問題であった。そこで、「インチネジのコンビニエンスストア 日本一を目指している」という、三和鋲螺を訪ね、探してもらった結果、見事に見つかった。ここは、1本から売ってくれるので、いざと言う時は非常に重宝する。

左がオリジナルのネジ、右が購入したネジ 

修理 MUTEが効かない RFゲインのボリウムの中に半田カスが入り、ボリウムとグランドがショートしており、この為にMUTEが効かなかった。
修理 PTOの周波数飛びが発生 PTOのケーシングに付いている、L302のロックナットが緩んでいた。
修理 Rejection Tuningのノブが空回りする ブリストルを強く固定しても止まらないので、エポキシ系の接着剤で固定した(少し乱暴だが・・・)。
修理 キャリブレータの周波数の初期ドリフトが大きい 1KHz/1時間ほどドリフトする。クリスタルを交換するとドリフトは無くなるり、クリスタルがコケている事が判明。修理方法が見当たらないのでとりあえず、半田を溶かしてクリスタルのケーシングを開放。内部の配線の引回しがクリスタルに接近していたので修正し、元に戻したらドリフトが解消した。(・・・?)

==> 再度キャリブレータの周波数が動くようになる(症状再発)。諦めて100KHzのクリスタルを交換して解決。

改善 熱によるドリフト、部品の劣化対策 上蓋に冷却FANを取りつけ。
  • FANの仕様:ブック型12V
  • 本体のAC6.3V出力を整流しDC10V弱を供給。本体より給電することで電源スイッチと連動が出来る。また、給電する電圧は平滑コンデンサの値を変え、FANが静かに回転する電圧を選ぶ。