私がコリンズの機械を入手して、まずは実施するメンテナンス(レストア)を紹介します。なお、これらのメニューは機械の程度や種類に応じて、臨機応変に省略しながら実施しています。
番号 |
内容 |
対応 |
1 |
内部水洗い |
次の手順で内部清掃を実施
- 本体をケースから出し、つまみ、メータ、真空管、水晶、照明、ダイヤル機構 を外す
- PTOは内部に水が侵入しないように、ビニール袋をかぶせる
- 約20倍に希釈したアンモニアを刷毛に付け、各部を洗浄する (アンモニアは薬局で入手できます)
- 洗浄後、温水で良くアンモニアを洗い流す(茶色の水が流れ、綺麗になった様子がわかる)
- 本体の水を切る→バスタオルで水分をぬぐう→ドライヤーで乾燥→1週間日陰で乾燥
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2 |
外観の改善 |
水洗い後、次の手順で外観の改善を行う
- 必要な箇所のタッチアップを実施する。タッチアップ完了後、WAXをかける。
- トリムリングが相当黄ばんでいる場合は(特にプラスティック製の場合)、カー用品のコンパウンドで磨く。
- 前面パネルの傷はタッチアップ塗料を用いて修正するが、タッチアップ塗料は綿棒に染み込ませ、上部から叩くようにして少しずつ様子を見ながら塗り重ねて行く。
- ケースやトリムリングの再塗装は、専用色のスプレーで行うが、元の塗装は剥がさないほうが良い
- シルクスクリーンのタッチアップは文字を自然な形に戻すのは相当に難しい。
- エスカッションの止めネジの黒色が剥げている場合は、つや消し黒のペイントで塗る
- つまみに付いた傷は靴墨を用いて磨く(KK5IM Jim
Miller氏のホームページ参照)。
- アルミインレイに傷が付いている場合は交換する(エフアール・ラジオラボより調達している)
- ネジが付いて無い場合は取り付ける(インチネジは三和鋲螺で調達している)
- ケースがへこんでいる場合は、木材の型を当て叩き出し整形する
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3 |
可動部注油 |
次の手順で注油を行う
- 古い油やグリスをふき取る
- マシン油、モリブデン入りグリスを注油する
- メインダイヤル機構部は注油をしてはいけない
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4 |
メータの清掃 |
メータはリグの顔の一部なので、メータガラス、メータ文字番を清掃するとリグの見栄えが見違えるほど良くなる。手順は次の通り。
- メータを本体から取り外す。
- メータについている小さなネジ(3箇所)を外しメータを開放する。ネジにペイントロックが施され外れにくい場合は、除光液でペイントロックを剥がしながら外すと良い。
- 細心の注意を払いながら、内部から可動部を取りだす。
- メータのガラス内部を清掃
- 可動部からメータフェースを取り外し清掃
- これらが終わったら可動部を元に戻すが、この時にメータのゼロ調整ネジを可動部の調整レバーに合わしながら戻す。
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5 |
接点清掃 |
水洗い後、次の手順で接点清掃を行う
- 接点復活剤を綿棒やボール紙に染み込ませ、丁寧に各接点を清掃する(※)
- バンド切り替え部は、シャフトを抜き、シールド缶を外し、内部の接点にアプローチする
- 接点回りは、KUREエレクトリック・クリーナーを吹きかけて汚れを洗い流す
(※)接点復活剤をロータリースイッチに直接吹きかけてはいけない。以前、75S3Bを購入当時にこれをやり、約10年後に接点間の電流リークにより不具合が発生した。また、絶縁部のベークが劣化する。
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6 |
各部調整 |
初回の通電後、各部調整を実施する
- 初回の通電は、スライダックスを用いて80V位からスタートし、徐々に110Vまで電圧を上げる
- 正常に通電が済んだ後、各部の機能を確認し、マニュアルの「Factory
Aligment」に沿って調整する
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