室根山のふもと

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 この3月から4月にかけて、『春夏秋冬』という「いわて高校退職者の会」の交流誌を編集しました。そのあとがきに添えた文章です。前半はすでにホームページでも紹介済みの話なのですが、昨年1年間の主なできごとのまとめですのでご容赦ください。

       

 こ の 一 年 


 はじめに

 「光陰矢のごとし」ということわざを小学校5年生の時に教わった。時は矢の飛ぶような速さであっという間に過ぎてしまうので、時間をぼんやり無駄遣いせず、勉強に精を出すんだぞ、後でしまったと思っても取り返しがつかないんだからな、と。しかし当時は、授業時間が長くこそ感じられ、時の経過に速いという実感を持つことはあまり無かった。だからこのことわざも、後半の「勉強に精出せ」を強調するための方便だと思っていた。
 それが50代になると、方便ではなく全くその通りだと実感できるようになった。その感覚は日増しに強まり、ついに60代になって、この1年が本当にあっという間に過ぎてしまった。それは記憶を司る脳がスカスカになり、子どものころと違って記憶の密度が薄まったせいなのだが。
 忘れてしまった事のほうが多いこの1年を、なんとかふり返ってみる。 

 バリ島の旅

 08年3月末、退職記念に家族3人でバリ島に旅行した。その時の第1の思い出は、サヌールでパラセーリングを体験したこと。ボートに引かれて気球が砂浜から浮かんで上昇し始めたときは、久しぶりに胸が高鳴った。町並みや海辺の景色、そして広々とした海原が一望の下に見渡され、次々と足下を流れ去っていくのがダイナミックだった。

                  妻がボート上で撮影

 ウブドではバリ舞踊を鑑賞した。竹製の楽器の弾むような演奏に合わせて踊られる舞踊は独特で、腰を落としたまま、左右にスライドする首の動きや、くりくりした目を見開いたままリズムに乗って素早く踊る姿は、とてもかわいらしかった。ただ、この子たちは10歳前後と思われ、ちらっと、こんな子どもたちを夜に働かせていいのかな、という思いもよぎった。

      

 井上ひさし氏の講演会で「第九」を合唱

 5月には一関市で、平和憲法を守る 井上ひさし氏の講演会 があった。

         www.news.janjan.jp より転写

 日本国憲法は、世界の歴史によって奇跡的に生み出されたものであること、1999年、100ヶ国以上で開かれた第3回国際平和会議は、行動原則の第1条で、「 各国議会は、日本の憲法第九条にならい、政府に戦争を禁止する決議をすべきである 」とし、日本国憲法は世界の目標になった、というのが印象的だった。
 その講演会に先立ち、ベートーベン第九交響曲の「合唱」の演奏があり、私もテノールで参加した。聴衆は1000人ほどと、井上ひさし氏のネームバリューでローカルな集会としては予想外?の入りとなった。おかげで歌う方も気合いが入り、よかったよかったと楽屋で自賛していた。
 第九の合唱でベートーベンが用いたシラーの詩は、「百万人の人々よ、わが抱擁を受けよ この口づけを、全世界に 兄弟よ…」と続くので、世界の人々が兄弟のように、祝福を受ける世界を願っており、まさしく「第九」は「九条」に通じている。
 幸福の条件の一つに、格差のなさがある。みんなが貧しいのでお互いみじめにならずにすんだ時代もあったのだが、日本はアメリカに次ぐ格差社会に突入したといわれる。だからこそいま、自分だけの幸せを追求する自己責任型ではない、ともにみんなが幸せになれる社会が求められているのだと思う。  

教研活動

 8月には青森で高生研全国大会があり、今年2月には秋田で高生研東北ゼミがあった。

     東北ゼミ懇親会

 全国からの参加者や、東北地方の仲間と出会い、私はこの高生研で育てられたから、38年間の教員生活を全うできたんだなあ、と改めて思った。現場の課題に果敢に挑みながら、情熱的に教育実践を積み重ねる先生方の意気込みや、その分析を通じて新たな実践動向を探る営みは、他では得られない醍醐味がある。これからもしばらくは参加し続けようと思っている。
 8月には水沢一高の校内研修会に講師として、9月には岩手私教研に共同討議者として参加した。私学の先生方の生徒に対する熱い思いには、いつも頭が下がる。
 11月には岩手高教組教研の生活指導分科会と日本語教育分科会に共同討議者で参加した。問題別分科会は課題が多い割に参加者の減少が気になった。教科別分科会は若い参加者も多く、久しぶりに現場の息吹を感じ、若返った思いだった。来年も参加を要請され、うれしかった。

プールとヨガ、コーラス

 退職にあたって妻は、「お父さん、退職しても弁当を作ってあげるからね。」と、あたたかい(?)心遣いを忘れず、家にいてほしくない様子がありありだったが、3月に隣の気仙沼市の施設からパンフレットをもらってきて、私の退職生活に向けてさまざまの提言をしてくれた。
 その結果プール通いとヨガ教室への参加が決まり、今では、クロール・背泳・平泳ぎ・バタフライと四泳法をこなせるようになった。ヨガにも半年通い、いまは自宅で修行中。
 室根町の「すずらんコーラス」にも入り、テノールのパートで歌っている。

      05年室根音楽祭

  7月には東磐井合唱祭、9月には一関市合唱祭、11月には室根町音楽祭と、3度発表会があった。少人数ながら気心の知れた会員のみなさんとの、週1回の練習が楽しみになっている。

ホームページを開設

 昨年4月にホームページを開設した。朝の散歩で撮りためた花や鳥の紹介などが主だが、月に3回をめどに更新してきた。社会性が弱いのが少し引け目なのだが、週に3回、ほぼ1時間かかる早朝○○もこなしている。
 今年の4月からは、岩手大学の講師をすることになった。工学部や農学部、人文社会科学部の、高校教師の資格を取りたい学生に、「特別活動の理論と方法」という講座を半年担当する。週に一度、室根町から朝8時半発の高速バスで、片道2時間半、盛岡まで通うことになる。 

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