三躯が一つの光背の前に立つ一光三尊仏の善光寺式の立像である。中尊背面に下記のような名が陰刻されている。
「奉鋳金銅善光寺阿弥陀如来
右志者為父母二親並常願藤原氏乃至法界平等利益也
健治弐年(1276年)丙子弐月時正初番」 ※時世…彼岸 初番…彼岸入口の別名
鎌倉後期に造像されたことが分かる。両親、一族から始まり、すべての世界に平等利益が広まることを願うという、信仰の篤い清い気持ちが記されている。
中尊の阿弥陀如来は、粒の大きい螺髪に旋毛を刻み、切れ味のよい面相、よく整った衲衣の衣紋など、銅像でありながら木型の特徴をよく示している。脇侍は、右が勢至菩薩、左が観音菩薩で、通形とは逆になっているのが異例である。宝冠に観音菩薩は阿弥陀立像を、勢至菩薩は宝瓶をつけ、裳の衣文は大ぶりで深いものをつくり、鎌倉期の特色の顕著なもので鋳技もまことに巧みである。
また、阿弥陀如来は、来迎型であり、無量寿を表現。脇侍観音菩薩は優しく温かい母性愛を、勢至菩薩は冷静で正しい理知を表し、三尊で人生哲学を如実に表現している。
推古仏の形式を残す、極めて優美な像であるといわれている。
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