登山手帖

北海道 十勝岳 〜 大雪山
昭和57年(1982年)8月2日(月) 〜 8月6日(金)

遠くに霞むトムラウシの双耳峰
スマヌプリからトムラウシへ続く稜線


8月1日(日) 十勝岳温泉

開通したばかりの東北新幹線に乗る。速くて疲れないので、遠くへ来た気がしない。盛岡から青森、函館から札幌まで満員。札幌で3時間市内見物。十勝岳温泉駐車場は日が暮れるまで車で一杯。

十勝岳・富良野岳
車窓から十勝岳・富良野岳

十勝岳温泉
十勝岳温泉

8月2日(月) 十勝岳温泉 ・・・ 富良野岳(往復) ・・・ 上ホロ避難小屋

十勝岳温泉 4:05起床 6:45発
富良野分岐 7:20着 7:30発
富良野岳 7:50着 7:55発
富良野分岐 8:05着 8:15発
上ホロ避難小屋 9:55着  

台風の影響で、強風が続く。天気は崩れる一方で、視界もガスで閉ざされ、予想以上に風の抵抗が強くなり、上ホロ避難小屋に文字通り避難する。

安政火口
噴気を上げる安政火口

55年に建てられた、まだ新しい2階建ての小屋で、トイレも付いている。水は小屋から少し下ったサイト場の融雪の豊富な流水が得られる。

雨は降っていないが、濃い霧をともなった横殴りの強風なので、小屋の外に出るとすぐ全身がびしょ濡れになる。1階の窓付近から水漏れがあって床が浸水したようになっていた。

4パーティー同居したが、2パーティーはトムラウシからの縦走組のようであった。強風が小屋をゆすぶる。小屋内にはやたらハエが多くて閉口する。

上ホロ避難小屋
上ホロ避難小屋  強風に遭い文字通り避難する

8月3日(火) 上ホロ避難小屋 ・・・ 十勝岳 ・・・ 美瑛岳 ・・・ オプタテシケ・・・ 双子池

上ホロ避難小屋 3:55起床 5:55発
十勝岳 6:35着 6:40発
美瑛岳の登り 7:35着 7:45発
美瑛岳 8:30着 8:40発
美瑛富士避難小屋 9:25着 9:35発
オプタテシケの登り 10:55着 11:05発
オプタテシケ 11:45着 12:00発
双子池サイト 13:05着  

昨日のような強風なら縦走を断念するつもりでいたが、朝には晴れ間ものぞくおだやかさで台風もどこえやらの空模様。十勝岳までと、その下りは視界10mほどのガスだが、道標が数多く立っていて、迷うことはなかった。

富良野岳
富良野岳

十勝岳山頂記念撮影
十勝岳山頂  山頂を示すものの他、何も見えない

美瑛岳へ続く稜線
美瑛岳へ続く稜線

美瑛岳付近はお花畑。下りの分岐が不明瞭でガスの切れ間に視認する。十勝岳のピークが少し見えるが、ガスが多くて展望はよくなかった。この付近まで全く人に会わない。美瑛富士を巻いて美瑛富士避難小屋分岐を通り過ぎるころから、そろそろ人とすれ違うようになる。

美瑛岳

美瑛岳 山頂近くは城壁のような断崖

美瑛富士

雲間に美瑛富士


美瑛富士の巻き道
美瑛富士の巻き道

美瑛避難小屋
なだらかな山裾に沿って雲が迫る美瑛避難小屋

辺別からオプタテシケまでの稜線上はいたるところにお花畑がある。

オプタテシケ
オプタテシケの山頂を目指す

石狩岳、ニペソツ遠望
オプタテシケの稜線から遠く石狩岳、ニペソツ

辺別岳にはコマクサの群落もある。オプタテシケのピークはハエが飛び回っていてのんびりする気になれない。下り坂は長くすべりやすい。終わりは雪田になっていて、道が途切れる。双子池のサイト地は湿地性であまり大きなテントは張りづらい所。水場はすぐそばに豊富な流水がある。夕刻、ブヨが多くなる。

双子池
双子池の雪田

8月4日(水) 双子池 ・・・ コスマヌプリ ・・・ 黄金ヶ原 ・・・ トムラウシ ・・・ ヒサゴ沼

双子池 3:30起床 5:20発
コスマヌプリ 6:20着 6:30発
地図の境界付近 7:15着 7:20発
スマヌプリ 8:00着 8:20発
黄金ヶ原 9:20着 9:25発
トムラウシ 11:25着 12:30発
ヒサゴ沼 14:40着  

晴天。雲がかかっている山を除けば、見晴らし良好。背後にそびえるオプタテシケが大きい。3パーティーがトムラウシを目指して出発。

コスマヌプリ
コスマヌプリへ続くハイマツの道

5年前は背の高いハイマツのブッシュに苦労した縦走路だが、現在はすっかり切り開かれていて実に楽である。ブヨの数も少なかったようだ。予想より早くスマヌプリまで行ってしまう。

トムラウシ
トムラウシ  このあたりは別天地

三川台付近は池塘と残雪が多く立ち寄ってみたい所だが、足早に通過するのみ。黄金ヶ原からトムラウシまではお花畑が続く。ガスにまかれて展望なし。南沼にも一張のテントサイトがあるが、すぐ上の野営指定地が融雪の流水が豊富にあって快適そうだ。

ガスの晴れ間を待ってトムラウシの頂上で長居すると、ナキウサギが姿を見せた。トムラウシ山頂では結局展望なし。トムラウシからヒサゴ沼周辺は、いたるところでナキウサギが鳴いている。

天沼
天沼

ヒサゴ沼
ヒサゴ沼  遠くに沼ノ原

ヒサゴ沼には新しく避難小屋が建ったばかり。2階建て、トイレ2付き。飲料水は沼に流れ込む流水が豊富にある。この日は写真を撮りまくり、フィルム1本使い切る。

ヒサゴ沼の中州
ワタスゲが風に揺れるヒサゴ沼の中州

8月5日(木) ヒサゴ沼 ・・・ 化雲岳 ・・・ 五色岳 ・・・ 忠別岳 ・・・ 白雲石室

ヒサゴ沼 4:05起床 6:05発
化雲岳 7:00着 7:05発
五色岳 8:05着 8:15発
忠別岳 9:35着 9:55発
大雪高原沼の上 11:20着 11:35発
白雲石室 12:50着  

晴れ。風強く遠くは霞かかっている。化雲石の大きさが遠くからもわかる平坦な山頂のよい目印になっている。

化雲岳
化雲岳 遠くから目立つ化雲石

神遊びの庭
神遊びの庭  霞むトムラウシ

五色まではお花畑とハイマツの小路が交錯して現れる。熊の出そうな感じがする。五色岳の山頂から沼ノ原方面を望むと、黄色一面のお花畑の広がりが見える。

五色ヶ原
五色ヶ原から沼ノ原へ続く道

忠別岳
忠別岳

忠別岳あたりで、すれ違う人が多くなる。この付近から先はコマクサの群落が数多くある。

忠別沼
忠別沼

大雪高原沼へは立入り禁止の札があった。白雲石室でテントを張るが、風が強く、テントが揺れる。テントサイト付近はお花畑になっている。残雪の融水が水場。量はそんなに多くない。

平ヶ岳
白雲石室から高根ヶ原、平ヶ岳 大きな雪庇の残雪

8月6日(金) 白雲石室 ・・・ 白雲岳 ・・・ 間宮岳 ・・・ 旭岳(往復)・・・ 北鎮岳(往復) ・・・ 黒岳 ・・・ 層雲峡

白雲石室 3:30起床 5:35発
白雲分岐 5:55着 6:00発
白雲岳 6:15着 6:25発
白雲分岐 6:40着 6:45発
北海岳 7:15着 7:25発
間宮岳 7:55着 8:00発
旭岳 8:35着 8:45発
間宮岳 9:10着 9:20発
北鎮岳分岐 9:55着 10:25発
黒岳 11:15着 11:25発
層雲峡 12:35着  

昨日と同様な天気。霞んで五色〜化雲までしか見えない。白雲岳山頂のすぐ下には広い草付の平坦地があって、野球でもできそうな広さ。

白雲岳
白雲岳 山頂からの眺めが大雪山そのものといった感じ

北海岳・北鎮岳
平坦な北海岳  御鉢平の向こう側に北鎮岳

旭岳
旭岳   小鉢平の残雪模様

北海岳への道の両側は構造土になっている。花の数は高天原ほど多くない。御鉢平から硫黄の臭いが風に乗ってくるが、目立った噴気孔はなく、広いばかりで火口という感じはしない。ザックを間宮岳に置いて、旭岳までピストン。

地獄谷・姿見の池
旭岳の山頂から地獄谷、姿見の池

旭岳の残雪でスキーをする人がいた。5年前の夏合宿で来た旭岳の頂上付近は、黒い火山レキに覆われ歩きにくかったが、現在は褐色土の露地に変わっていた。

少し離れた白雲岳や北鎮岳から見る旭岳は裾野の残雪模様のきれいな眺めだが、間宮岳からはこの付近の山々と似たようにしか見えない。

北鎮岳の展望(旭岳)
北鎮岳から旭岳  展望の見納め

黒岳の頂上付近から先は観光客でひしめいている。頂上ではアイヌの民俗衣装を着た2人が舞踊に興じていた。

層雲峡俯瞰
黒岳の下り  層雲峡に続くリフトとロープウェイ

リフトとロープウェイを乗り継いで下山。公衆温泉で汗を流す(260円)。

帰りの車窓から夕陽を眺めながら、次はドライブで北海道めぐりをしたいと思った。(6年後に実現

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