自作ハイブリッド(左)と、FM-VICS用に流用していた分配器(右)
FM-VICS用にアンテナケーブルを分岐するため、家庭用のテレビの2分配器を流用していました。 使用できる周波数の下限が10MHzなので、AM放送と交通情報(522、1620、1629kHz)は聞けません。 取り替えて改善できるのでは?と、家電量販店に陳列されている市販の分配器を隈なく調べてみましたが、どのメーカーも仕様は同じでした。
無いものは自分で作る。でも、どうやって?
ある日、仕事の帰りに立ち寄った書店で、何気なく手にとって見ていた本の中に、ヒントがありました。
その本とは、「トロイダル・コア活用百科 山村英穂著 CQ出版社」。 アマチュア無線家の間では定本とされるようです。分配器に相当するものが、ハイブリッドの項目で解説されています。
フェライトビーズを使って自作した広帯域ハイブリッド
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同書をじっくり読み伝送線路トランスが理解できた(ふりをした)ところで、目標とする0.5〜90MHzの周波数帯で実用になるハイブリッドを自作しました。
広帯域ハイブリッド回路図
実装図
材料は日本橋の電気専門店街(電子部品を取り揃える店)で調達しました。
広帯域ハイブリッドの材料表
フェライトビーズの全周に不織布の包帯を薄く貼り付けておくと、極細い銅線でトロイダルコイルをコアの全周に均等に巻く際に、緩みにくく容易に作業できます。(不織布の包帯は、100円ショップで購入したパルプ繊維の自着性包帯を使いました)
トランスが金属面に触れるのを避けるため、プリント基板の銅箔面を裏側(全面アース)とします。 表側にトランス、抵抗、同軸ケーブルと、結線用の小さなプリント基板を配置し、それぞれ接着剤でプリント基板に固定します。
同軸ケーブルの網線は、プリント基板に穴を開けて通し、裏側ではんだ付けします。 同様に、タップ付きトランスも銅線を裏側へまわしてはんだ付け。
同軸ケーブルの配置に合わせて、ケースに穴を開け同軸ケーブルを通します。 回路をケース内に収めた後、エポキシ樹脂で充填します。 硬化が遅いタイプのものは要注意。 硬化が始まるまで同軸ケーブルと穴のわずかな隙間から漏れ続けます。
道具箱の隅に埋もれていたハンダゴテと使い古しの(鉛!)はんだを使って、久しぶりにはんだ付け作業しました。 測定する術を持ち合わせていないので、この自作ハイブリッドの性能は不明です。
出来上がったところ早速カーナビに接続して動作確認しました。 FM放送、FM-VICSに加え、AM放送も全周波しっかり明瞭に受信できています。 まずは完成です。