目を…見つめて仕舞うのが怖かった。
好きだ、と告げて仕舞った事で一切の動作を停めて仕舞ったアリスが
どんな思いで俺を見つめているのかなんて…知りたくも無かったからだ。
少なくとも、俺が想っているよりは遙かに遠い部分で驚いているんだろうから。
…驚いているだけなら、まだいい。
嫌悪、しているんだろう。
指にはさんだ煙草が…震えて仕舞いそうなほど、深い絶望に落された。
いや、落とされたのではない、堕ちていったのだ。
自らの…不注意で。
「…アリス?」
何を問いかけても首を横に振るだけで…声すら聞かせてくれないアリスに
居た堪れなさを感じつつも…どうにも様子がおかしい気がして名前を呼んだ。
じっと灰皿近くに投げ出したままの俺の指先を見つめて…俯いたままのアリス。
伏せた目元には落された照明が驚くほど長い陰を作って…さらりと額に掛かる
柔らかい髪が流れる様に頬に届いている。
その頬が…ほんのりと染まっている…気がして。
思わず、覗きこんだアリスの隠れた表情の欠片を捕まえて。
その顔に浮かんでいるのは…嫌悪では無い。
「…なんか、欲しいか?」
ふと口を吐いて出た言葉に…はっとしたように、それでも恥じらいを多分に含ま
せた視線で…ゆっくりと顔を上げたアリスの仕草に、どうしようもなく都合のよ
い考えが脳裏をよぎって…それはやがて脳内をじんわりと浸食していった。
紛れもない、それは…喜びともとれる恥じらいを滲ませたアリスの笑顔。
都合がいい、そうかもしれない。
でも…。
「アリス…、嫌じゃ…ねぇの、か?」
声は相変わらず聴こえてこないけれど…首が微かに動いた気がした。
そう思えるのは…。
『誤解か?』
20年目になんとなく20のお題より
『今はいい』『我慢したのに』から微妙に続いていなくもない。そして『知らないことが多い』へと続いたりする。
Author by emi