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自己所有<如意輪観音像>
日本には優れた仏像がまだ沢山あるはずだが、最近年賀状用に取り上げる仏像が種切れ気味となってきている。そのため今回は自ら購入したものを版画にすることとした。
この仏像は高さが70センチ余あり、細部にわたり彫りも大変優れ均整がとれよく出来ている。実物は表情も豊かで、優しいお顔立ちでお顔を眺めていると心が洗われるような思いになる大変すばらし仏像と自惚れしている。通常は自宅の玄関正面に安置しているが、その空間には凜とした落ち着きと安らぎを醸し出している。
如意輪観音像はその形態からして仏像としての宗教性をあまり強調させず、形の美しさからむしろ芸術性を醸し出しているように感じている。
はがきサイズの中にこの複雑な容姿をどこまで表現し、しかもこの仏像の持つ雰囲気を版画で表現出来るか悩ましく、本来の仏像の優しい表情を表し切れていない点は残念である。この仏像には手が6本あり、この画面では3本見えるが、そうした全体像が分からない人にとっては下側の2本の手の指の区分けが分かりづらいかもしれない。また実物は色ももっと多く使われているがこの手法ではそれを表現できていないのはやむを得ない。
このシリーズも既に半世紀近く取り組んできているが、今回も2色目、3色目の変化を加減しすぎ、やや立体感の表現が出来ていないのは反省点である。年1回の作品であり毎回思うように作品が仕上がらない難しさがある。
ともあれ、昨年自然災害をはじめ、世界では政情不安な事件が相次いだが、本年はそれぞれの人々の願いが叶い、平安な良き年となるよう祈りたい。