2014年仏像シリーズ第42作



興福寺南円堂(奈良)<不空羂索観音菩薩像>国宝 康慶作

   有名な東大寺三月堂の不空羂索観音立像は奈良時代を代表する不空羂索像であるが、興福寺のこの像は、平安時代に造られたものが何度かの火災により焼失し、鎌倉時代に運慶の父「康慶」が1189年に製作したもので鎌倉時代を代表する不空羂索像である。
 像高は386センチと大きな像である。その大きさからしても圧倒的な存在感を持っている。堂々とした体躯と目が三つ、腕が8本の異形の姿が、均衡のとれた力強い造形でまとめられている。後背の彫刻も見事である。右手に持つ羂索により大衆の煩悩を漏れなく救うとのこと。
 リーマンショック以来続いた円高により世の中の不景気風が強まっていたが、安部ノミクスにより円安基調に転じ、ようやく景気にも幾分の薄日が差してきたかに見える。しかし今年の4月よりの消費税8%への転換により、先行きには予断が許されない状況でもある。
 本年が少しでも明るい良い年となることをこの仏様に祈りたい。
 これまでずっと摺に苦労してきたが、今回は3色目まで中性絵の具を使い、4色め以降はガッシュを用い、摺自体は比較的問題を感じなかった。ただ最終回の6色目の彫りでどこを残すか彫るかの迷いにより、作品としての出来に不満が残ってしまった。何回やっても思うようにいかない。また従来100枚摺っていたものを、昨年から80枚限定とした。

番外仏像作品(松本市寿 道祖神)