2012年仏像シリーズ第40作



向源寺(滋賀県)<十一面観音立像> 国宝

     この仏像は日本全国に七体ある国宝十一面観音の中でも最も美しいとも言われている。そのお顔は均整がとれきわめて端正で気品と優美さが漂い慈愛も漂っている。腰を少し傾けた姿にほっとした安らぎと親しみを感じさせる。我が国の仏像の中でも傑作の一つといえよう。
 昨年は3月の東日本大震災という未曾有の大惨事、ギリシャ危機に端を発する世界的経済の混乱や急激な円高、タイの大洪水による日本企業の大打撃等様々な暗いニュースが続いた。高校生や大学生の新卒者の就職難も依然として続いている。十一面観音は世の中の様々な問題を救ってくれるとのこと。こうした世の中の混乱を少しでも鎮めて欲しいという思いよりこの仏像を選んだ。
 今回の作品は仏像そのもののすばらしさに救われている面があるが、摺がなかなか思うように綺麗に出来ないでいる。中性絵の具は摺は本来うまくできるのだが、乾きが悪いために私の様な多色刷りの年賀状に向かない。仕方がないために今回は三色目までを中性インクとし、残り三色をガッシュにしたが、一番大事な最後の色ののりが悪く作品としての出来が今ひとつなのが悩みの種である。

番外仏像作品(東大寺八角灯籠・音声菩薩(横笛))