第3話 グルーブしなきゃJAZZじゃない!

デューク・エリントンの「スィングしなきゃ意味がない(It don't mean a thing)」は、歌詞にスキャットを入れたり、いかにも「スィングしてます!」って雰囲気が出ています。

「体が揺れだすような」=スィングは文字通りダンスをする為の音楽でもあり、ベニー・グットマンに代表されるようにスィングJAZZの時代には「ボール・ルーム(ダンスホールのことですな)に行って、スィングでキメようぜ!」(と言ったか言わないか。。)

ところが、1940年頃から起こったBe-Bop(ビ・バップ)と呼ばれる、言わばモダン・ジャズの揺籃期にあたるこの音楽あたりから、ほとんど踊れない音楽になってしまいました。Be-BopからJAZZは「鑑賞する音楽」に移行していったのです。(Be-Bopに関しては別に書きたいと思います。)

それでもステップを工夫して踊り続ける猛者もいたらしいですが、1955年頃までにはクール・ジャズとか新興JAZZの台頭で、すっかり「熱いスィング」からは趣が変わってしまいました。

どうもこの頃から「スィング」に代わって「groove(グルーブ)」と言う言葉が広く使われ出してきたようです。(実際はスィングJAZZの時代からマニアや業界内で使われていた言葉です。)

”groove”とは本来は「溝」の意味ですが、レコードの溝に針がぴったっりはまると良い音が出ることに例えたもので、分かり易く言うと「ノリ(のある)」の事。辞典をひくとこうあります。

「groove ・・(スィングを)聴衆を心酔させるくらいに見事に調子に乗った演奏をして。(聞き手がスィング音楽に)熱狂的に反応して。」

(そう言えば”Groovin' High"というBe-Bopの名曲がありますが、なんとなく雰囲気がわかろうと言うものです。)

つまり、今風に言うとエリントンの曲は「グルーブしなきゃJAZZじゃない!」となりますな。

さて、この「グルーブ」こそJAZZの生命線なのですが、JAZZを一言で表す簡単な言葉でありながら、一番体得しにくいのがこの「グルーブ」でしょう。あえて表現すると、「あとノリ」とか「オフビート」とか、アップテンポの曲の場合は「ゆっくり急げ」なんてどうすりゃいいのさ。(笑)

黒人特有と言われるこのノリ故に、「黒人は得だな。生まれながらにこのノリをもってて」とボヤいているアナタ。それは正解とは言えません。以下レイ・ブラウンという黒人の大ベーシストが雑誌でこう言ってます。

「黒人だからスィングができるって?そりゃアンタ、違うよ。練習なんだ。習うのさ。練習なしで生まれながらスィングできるだなんてよしてくれよ!」

アフロ・アメリカンからしてこう言っているのですから、我々モンゴロイドもJAZZの蒙古斑を早く消す為には「練習」あるのみです!

文: クリフォード・伊藤

カンサス・シティ7

カンサス・シティ・セブン / カウント・ベイシー (UCCU-5112)

☆「からっと小粋なスィング」が身上のカウント・ベイシー。その秘密はリズムの要であるギターのフレディー・グリーンに負う所が多い。彼は一時期ソロギターを取ろうとした事もあったが、彼がバッキングをしないとバンドが全然スィングしないので、仲間がアンプの電源を切ったりして無理やりリズム・ギターに専念させたとか。
このアルバムは小人数コンボでの演奏なので、その歯切れのよいリズム・ギターが十分堪能できる。またコンボなので「カウント・ベイシー?う〜ん、ビック・バンドはちょっと苦手。。。」という方にもお勧め。

アマゾンで購入
カンサス・シティ・セヴン

ジャズコラムトップへ戻る